史上最多14度の総合優勝を誇る中央大(中大)が5時間23分41秒の2位で折り返した。

当日変更で2区に入ったエース吉居大和(3年=仙台育英)が区間賞の走りでトップに立つと、続く3区の中野翔太(3年=広島・世羅)も区間賞。先頭を守って4区の吉居兄弟の弟駿恭(1年=仙台育英)へつないだ。出雲、全日本でエース区間を走るなど躍動していた期待のルーキーは「10キロ過ぎから(両)ふくらはぎがけいれんしてしまった」と苦しんだが、レース前に定めていた1時間2分を切る1時間1分49秒。粘りの区間5位だった。

その山上り区間はトップと39秒差の3位で迎え、前回1年ながら同区6位だった阿部陽樹(2年=山口・西京)が青山学院大(青学大)を抜く。「上りが得意なので、できればそこで先頭に立ちたかった」と悔やんだように、駒大までは届かなかったが、差を30秒に縮めて「総合3位」の目標を掲げている復路に希望を残した。

首位の駒沢大(駒大)と30秒差の2位。藤原正和監督(41)は悔しがった。22年ぶりの「往路優勝」を狙っていただけに「届かなかったのは指導者の差、至らなさ。選手は想定内の走りをしてくれた」とたたえ、責任を背負い込んだ。

2、3区の起用については「12月の頭ぐらいから大和を2区と決めていた。中野にも2区を譲りたくない思いがあったけれど、往路は3区と4区が勝負になるので、チーム戦略を理解してもらった。大和は2区の対策として上り下りなど練習してきたし、皆さんは2区と3区が逆じゃないかと思われたかもしれません。しかし、内々では最も自信のある配置でした」と説明した。

兄の吉居大は昨年1区で15年ぶりに区間新記録を樹立し、大会MVPに当たる金栗四三杯を受賞。今年は「エースはエースらしく、覚悟を持ってほしい」と花の2区に起用され、ともに1学年上の駒大の田沢廉、青学大の近藤幸太郎に競り勝った。藤原監督は「絶対に1区はスローペースになると思っていて2区でヨーイドンなので、離されるわけにいかなかった」。そこで区間賞に輝いた吉居大が今年も主軸となり「田沢君とやるのは最初で最後でしたし、学生長距離の頂点を極めるのはここだから、と話していた。絶対に勝たせてあげたかった」。ここも狙い通りの快走となった。

一方で藤原監督は、往路優勝に足りなかったものを問われると、こう答えた。

「中野の後半で10秒とか20秒、稼げたところと駿恭のピークの部分。今日はよくやってくれたなと思います。15キロ以降、離されてもペースをつくって走ってくれた。八王子の後、出雲も全日本もインカレも走って(疲労が蓄積して)いたので、今日は耐える走りをしてくれれば。スケジュールの問題で、次の1年生の起用など今後に生かしたい。ですが、選手は1~5区まで全て想定通りの走りをしてくれました」

総合3位が目標ながら96年以来27大会ぶりの優勝もファンから期待される。「チャンスはゼロじゃない。明日につながる30秒」と監督は翌日を見据えた。

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