21年東京オリンピック(五輪)代表の鈴木亜由子(31=日本郵政グループ)が自己ベストとなる2時間21分52秒で日本人トップの2位に入り、24年パリ五輪代表選考会で、今秋開催の「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」へ弾みをつけた。

両手を広げてゴールした。自己ベストの好記録。「今回の目標が自己ベスト更新だった。後半に上げていくことができて自信になった」と笑顔を見せた。

愛知出身で、母校は名大。マラソン5回目にして、初めて地元レースに臨んだ。スタート直後から昨年のシカゴマラソンで世界歴代2位の2時間14分18秒をマークしたルース・チェプンゲティッチ(28=ケニア)が、ペースメーカーを抜き、トップに立つと、2位以下を大きく離して独走。予想外の展開だったが、第2集団で冷静にリズムを保ち、粘り強く走り続けた。30キロ過ぎから第2集団の中でスパート。一気にペースを上げた。地元名古屋の沿道から「亜由子」コールが巻き起こる中、最後まで懸命に腕を振った。「苦しいところで声援が助けになった。終盤は脚も呼吸も苦しかったが、沿道のみなさんが“21分台いける”と声援をくださって、力を出し切れた」と地元の人たちに感謝した。

中学時代から天才ランナーと呼ばれた。その後、ケガの連続だった。16年リオデジャネイロ五輪出場も1万メートルは左足の違和感で欠場。挫折が続いたが、あきらめず18年北海道でマラソンに初挑戦。5000メートル、1万メートルで世界選手権や五輪の代表に選出されたスピードを生かして、初レースながら、2時間28分32秒を記録。デビュー戦を優勝で飾った。

東京五輪への切符も獲得。しかし初の大舞台でのマラソン挑戦の結果は厳しかった。2時間33分14秒で日本人2番手の19位。「足がぶっ壊れてもいいからメダルを取るくらいの気持ちがなかった」。五輪後は地元愛知に帰り、2カ月間休養。地元で休んで元気をもらっただけに、ここで来年のパリ五輪につながる走りをしたかった。

2大会連続のマラソン代表入りへ-。

すでに、24年パリ五輪代表選考会で、今秋開催のMGCへの出場権は獲得済み。地元を激走した31歳が、パリへ向けて走りだす。