女子100メートル日本歴代4位(11秒36)の記録保持者で今夏のパリ・オリンピック(五輪)出場を目指す君嶋愛梨沙(28=土木管理総合)が、女子60メートルで7秒54の3位に終わった。

鶴田玲美(26=南九州ファミリーマート)が室内日本歴代4位の7秒38で優勝、児玉芽生(24=ミズノ)が7秒41で2位だった。

昨年に記録した7秒40の自己ベストにも届かなかった君嶋は「タイムを見ると『うーん』というのが正直なところ。当初は7秒20台後半から、7秒30台と思っていた」と悔しがった。

世界選手権は、22年オレゴン大会(女子400メートルリレー)と23年ブダペスト大会(女子100メートル)に連続出場。昨年6月の日本選手権では2連覇を飾り、200メートルは日本歴代3位の23秒17で2冠を獲得した。

それでも「ちょっと突き抜けられなかった。このままではよくない。マンネリしているなと思った」と、知人の紹介で短距離王国ジャマイカへ単身留学を決意。昨年11月に約3週間、今年1月に約2週間、五輪と世界選手権で計4つの金メダルを獲得した男子短距離の英雄、ヨハン・ブレーク(34)が所属するクラブチームで練習してきた。

「ジャマイカでは腕の振りとか脚の運びを、特に意識してやっていた。こういうところでやったら出力、スピード、いつでも高いパフォーマンスを出せる環境だと思った」と本場で刺激を受け、実際に1月27日に60メートルの公式戦にも出場。この日は帰国から5日目での出場となった。

「結果的には、今回の試合のタイムや状況にはうまく出ていないが、今後プラスに働くようにしたい」といい、3月に3度目の現地入りを予定する。

今年は初めての五輪出場のために、22年にマークした100メートル(11秒36)の自己ベスト更新が最低限の目標だ。

五輪参加標準記録(11秒07)は高い壁だが「切れればどのタイミングでも切りたい。そこに極力、近づけるようなタイムを出していきたい」と意気込む。

米国人の父と日本人の母を持つ君嶋は、山口・岩国市生まれ。埼玉栄から進んだ日体大時代、既に全国区の陸上選手だったが、ボブスレー日本代表として17年世界選手権女子2人乗りで7位入賞となり、二刀流で話題になった。