箱根駅伝で「元祖・山の神」と呼ばれたトヨタ自動車九州の今井正人(39)がシニア男子10キロに出場し、現役ラストランで31分19秒の44位だった。

陸上人生24年を噛みしめるように、万歳してゴールした。レース後深々と一礼して感謝を伝えた。会見で「充実した24年間でした。名残惜しさは正直あるが、幸せな場所で走らせてもらい、ありがたい気持ちです。晴れやかな気持ちで終われました」と涙をこらえながら答えた。

競技人生については「うまくいかない方が多かった。山あり谷ありで、谷が多かったが、そのたびに成長させてもらい、乗り越える喜びをたくさん経験できた」と振り返った。

21日、クロカン日本選手権を最後に現役引退することを発表していた。

福島・南相馬市出身で、原町高から順天堂大に入学した。順大では山登り区間の箱根駅伝5区で2年時から3年連続区間賞など圧倒的な走りを見せ、脚光を浴びた。

卒業後は、バルセロナ五輪男子マラソン銀メダリスト森下広一監督の指導を受けた。13年元日のニューイヤー駅伝では4区区間新で11人抜きの快走をみせ、チーム過去最高の2位に貢献。個人としても15年の東京マラソンで当時日本歴代6位となる2時間7分39秒の自己ベストをマークするなど平地での速さもしっかりと示した。

昨年10月にはパリ五輪マラソン代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」に出場したが、失格に終わっていた。

引退後は「指導というより寄り添いながら、一緒に喜んで悩んで悔しがれる、そういう存在になりたい」と話し、指導者として後進の育成にかかわり「新・山の神」を育てる。