男子マラソンの日本記録保持者の鈴木健吾(28=富士通)が、パリオリンピック(五輪)切符を懸けた最終決戦に決意を示した。

1日、都内で3日の東京マラソンへ向けた記者会見に出席。初の五輪出場へ向け「次の五輪こそはという思いでやってきた。これがファイナルチャレンジ。自分のいろいろな思いを持って走りたい」と力を込めた。

今夏のパリ五輪男子マラソン代表は3枠で、昨年10月のMGC男子1位の小山直城、同2位の赤崎暁はすでに内定済み。残り1枠については、今大会で設定記録(2時間5分50秒)を突破した上で日本人最上位となった選手に与えられる。突破者不在の場合は、MGC3位の大迫傑に決まる。鈴木は21年びわ湖毎日マラソンで日本記録となる2時間4分56秒、22年東京マラソンで2時間5分28秒をマークしており、今回の設定記録についても「出せないタイムではない」と自信をのぞかせた。

股関節痛の影響もあり、22年3月の東京マラソン以降はレースの出場から遠ざかった。23年10月には約1年7カ月ぶりのマラソンとしてMGCに出場したが、12キロ手前で途中棄権。「今の自分の状態では勝負に全く絡めない」と受け止めるしかなかった。

ただ、そのレースは転換点にもなった。以前は“日本記録保持者”の重圧も少なからず感じていたが「MGCが終わってからは自分のプライドや肩書もなく、ここまで臨むことができた」と、“チャレンジャー”に立ち返るきっかけにもなった。

昨年12月中旬から本格的な練習を再開し、鹿児島・徳之島などで土台固め。アップダウンのあるコースなどで練習を重ねてきた。

「足の不安はない。久しぶりのマラソンを楽しみたいという思いもある」

約14分の囲み取材ではすがすがしい表情を絶やさなかった。心身ともにすっきりとした鈴木が、最後の1枠をつかみにかかる。【藤塚大輔】