今夏のパリオリンピック(五輪)女子マラソンの補欠となった細田あい(28=エディオン)が25日、都内で開催されたJMCシリーズ3の表彰式に出席後に取材に応じた。

昨年10月のパリ五輪マラソン代表選考会(MGC)では2位以内で内定となる中、2位の一山麻緒と7秒差で3位となった。今月10日の名古屋ウィメンズマラソンで前田穂南の日本記録(2時間18分59秒)を上回ったうえで日本人最上位となれば、3枠目の代表に内定したが、同1日に左内側広筋筋膜炎によってレースを欠場。代表入りの道が絶たれていた。

「2月に入ってから痛めた」と打ち明け、前田の記録を超えるために練習を追い込んだことが原因の1つと説明。「自分もしっかりやらなきゃという気持ちで。(練習を)やりすぎた結果、ケガにつながってしまった。自分の中ではギリギリを攻めた。最終的にギリギリまで粘ったが、ジョグをし始めたのが2月の終わりや3月の頭くらいからだった。(本番まで)10日でレースに出ることは体にも心にも負担がかかると分かっていて、走るだけになると思った。悔しい決断だった」。現在は復調し、強度を高めたメニューにも取り組んでいるという。

MGCによる選考方式は、東京五輪前に続いて2度目の導入。選手は指定された大会に合わせて調整し、着順とタイムの両面を追求する必要がある。細田はペースメーカー不在で行われた昨年のMGCを回顧。「誰が前に出るか分からない中、順位も狙わないといけない。心理戦のようなレースを初めて経験したので、良い機会だった」と前向きに振り返った。

パリ五輪の代表選手に辞退者が出れば、出走の可能性もあり「代表と同じ気持ちで戦えるように準備したい」と気を引き締めた。来年9月に東京で開催される世界選手権へは「ケガなくやれれば代表が近づいてくる。ケガのない体づくりをしていきたい」と見据えた。【藤塚大輔】