陸上男子100メートルでU18世界新記録の10秒00をマークした16歳の清水空跳(石川・星稜高2年)が、日本人最年少での9秒台を目指す。
19日、金沢市内で練習を公開。日本短距離界の新星は、高校3年生となる来季中での記録達成を宣言した。日本人最年少の9秒台はサニブラウン・ハキームの20歳2カ月となっており、大幅更新を狙う。9月の世界選手権東京大会(13~21日、国立競技場)は個人種目の内定こそ極めて厳しい状況だが、400メートルリレーでは代表入りの可能性がある。
◇ ◇ ◇
身長164センチと小柄な清水は、20社以上の報道陣に囲まれても堂々としていた。物おじせず、言いよどむことなく思いを口にする。
衝撃の10秒00から24日。国内外で注目度が急上昇し、この日はドイツのテレビ局も訪れたが「応援されるのはうれしいこと。プレッシャーに感じることは特にない」と言い切った。すでに視線は未来へ。「高校での9秒台が目標。まずはそこへ向かって走りたい」。日本人最年少での9秒台へ決意を示した。
13年に桐生祥秀が打ち立てた日本高校記録を0秒01更新し、21年山縣亮太の日本記録にも0秒05と迫っている。
快記録を生んだ要因の1つは、優れた身体感覚にある。西野弥希監督によれば「足の接地が正確。本来の位置からズレると『おかしい』と伝えてくる。体で感じ取る能力が高い」と証言する。全国高校総体では10秒30だった予選後に「体の中心部分から動くスプリント練習とスタートダッシュをやってみよう」と助言を授けられると、ウオーミングアップですぐに修正。「追い風参考だったら9秒台も出る」と手応えを口にし、追い風1・7メートルの決勝で10秒00をたたき出してみせた。
強気な姿勢も、記録向上につながった。自身の性格は「負けず嫌い」といい、最も悔しかったレースには7月の日本選手権を挙げる。高校生でただ1人準決勝に進出したが、上位8人による決勝へは進めず。わずか0秒01差で逃し「9番手で落ちてしまった」と悔しさが募った。
だからこそ全国高校総体後に、桐生が9秒99、守祐陽と柳田大輝が10秒00で続いたことには喜びも感じた。言葉を慎重に選びながら「自分が刺激させた面もあるのかなと思う。こうやって強くなっていくのは良いことだと思う」と静かにうなずいた。日本短距離陣の記録ラッシュの“火付け役”を担う格好となり、存在感を示せたことがうれしかった。
9月の世界選手権は400メートルリレーで代表入りの可能性がある。バトンパスなどの負担が少ない1走に意欲を示し「走れる準備をしていきたい。シニアの舞台は想像もできないが、頑張りたいという一心」と気を引き締めた。
揺らぐことはない。虎視眈々(たんたん)と、自分なりのスピードで目標へと突き進む。【藤塚大輔】
◆男子100メートル、400メートルリレー代表争いの現状 100メートルの出場枠は最大3。現時点で1番手から順に桐生、守、サニブラウン。他の選手にも8月24日までチャンスがあり、7月の日本選手権2~6、8位は10秒00、それ以外は9秒96を出せば、代表入りの可能性がある。400メートルリレーは日本選手権100、200メートルで8位以内の選手や、日本陸連が定めた基準記録の突破者などから総合的に選出される。基準記録は100メートルが10秒08、200メートルが20秒26。

