【6月前半の陸上競技展望・日本選手権編その2=中・長距離種目】

 トラックシーズン前半戦のハイライトである日本選手権が行われる。ロンドン五輪最終選考会でもあり、五輪A標準突破選手が優勝すればその場で代表に内定するシステム。最終日翌日(11日)にはリレー種目を除く代表選手が全員発表される。

 マラソンでの代表入りを逃した福士加代子(30=ワコール)は、5000メートルと1万メートルで3大会連続の五輪代表入りを目指す。福士が普通の状態なら1万メートルは負けることはないだろう。

 対抗できるとしたら新谷仁美(24=ユニバーサルエンターテインメント)か。初1万メートルだった4月の兵庫リレーカーニバルで優勝し、勢いがある。

 5000メートルは福士も楽には勝てない。ラスト勝負に強い吉川美香(27=パナソニック)と小林祐梨子(23=豊田自動織機)、序盤からハイペースで飛ばす新谷、中盤のロングスパートが武器の絹川愛(ミズノ)と、“勝ちパターン”を持っている選手たちが台頭してきた。

 両種目合わせて6人のA標準突破者がいる。女子マラソンに匹敵するくらいに代表争いが激しくなりそうだ。

 男子1万メートルは佐藤悠基(25=日清食品グループ)が優勝候補筆頭だが、現時点ではB標準(28分05秒00)しか破っていない。27分45秒00のA標準突破済みの宇賀地強(25=コニカミノルタ)と宮脇千博(20=トヨタ自動車)の2人が2~3位に入るケースも考えられる。その場合佐藤1人を五輪代表に選ぶか、A標準の2人を選ぶか。選考が難しくなるかもしれない。

 “新山の神”柏原竜二(22=富士通)は5月に28分25秒37と自己記録に迫ったが、トラックでは日本のトップと差がある。本人が目標とする「B標準を破って優勝」ができれば選考対象となる。

 男子800メートルは横田真人(24=富士通)が5月のテグ国際で1分46秒19と自身の日本記録に0・03秒と迫った。五輪B標準も突破したが、日本人初の1分45秒台とA標準の1分45秒60突破が期待される。

 また、女子800メートルの久保瑠里子(23=エディオン)はシーズンイン直前の故障で出遅れたが、国内では格の違いを見せている。日本人初の2分突破と、1分59秒90の五輪A標準が目標だ。【6月前半の主な陸上競技大会】6月2、3日:日本選手権混成(長野)6月8~10日:日本選手権(大阪・長居)