27日開幕のスケートカナダ(レジャイナ)で本田真凜(16=大阪・関大高)はグランプリ(GP)シリーズデビューを果たす。目指すのは18年平昌五輪出場。心を許す友人であり、16年リオデジャネイロ五輪卓球女子団体銅メダリストの伊藤美誠(17=スターツ)は、今の本田と同じ高校1年生で五輪の舞台に立った。

同じ高校1年で五輪シーズンを迎える本田真凜へエールを送った伊藤美誠
同じ高校1年で五輪シーズンを迎える本田真凜へエールを送った伊藤美誠

 伊藤 私、ファンの方にも「真凜ちゃんとすごく似ている」って言われます。

 昨年12月、伊藤は本田が4位となった全日本選手権でフィギュアを初観戦。表彰台まであと1歩の悔しさを想像したが、演技直後に「美誠ちゃん、今どこ~?」と連絡が来た。「『切り替えるの、早っ!』みたいな。私も(リオ)五輪の時に『(失敗を)反省しないです』って言っていたんです。似ていますよね」。そう笑いながらも、競技の枠を超えた刺激を受けた。

 出会いのきっかけは昨年3月。世界選手権団体で銀メダルを獲得すると、本田から短文投稿サイト「ツイッター」で祝福を受けた。6月に都内の行事で顔を合わせて意気投合。五輪後の9月には大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)へ遊びに行った。

 「元々『(五輪の)メダルを見せたい』って言っていて。(食料保存バッグの)ジップロックに入れて持っていって、こっそりと写真を撮りました(笑い)」

伊藤美誠から本田真凜へのメッセージ色紙
伊藤美誠から本田真凜へのメッセージ色紙

 あれから1年。伊藤はリオ五輪への道を思い返す。

 「卓球は五輪前のツアーのポイントで代表が決まるので、途中から他の日本人選手の結果を気にしてしまった。他の人のことを考えた時は、全然ダメでした」

 ハート形の色紙には「楽しんで 自分らしく 頑張ってね!」とつづった。

本田真凜
本田真凜

 伊藤 真凜ちゃんも元々周りをあまり気にしない。だから、そのままでいてほしい。五輪前の1年は精神的にしんどいし「えっ、こんな自分、初めて見た」って発見がたくさんある。それをプラスに考えて“楽しく発見”してほしいです。

 五輪メダリストの温かいエールは、未知の世界へ進む友の背中を押すはずだ。【松本航】

 ◆伊藤美誠(いとう・みま)2000年(平12)10月21日、静岡・磐田市生まれ。11年1月の全日本選手権一般の部では、10歳2カ月で史上最年少勝利。今年6月の世界選手権では、早田との「みまひな」コンビで女子ダブルス銅メダル。大阪・昇陽高2年。世界ランク7位。150センチ。

 ◆伊藤美誠のリオ五輪への道のり 15年3月のワールドツアー・ドイツオープンを史上最年少の14歳152日で優勝。当時38位の世界ランクを同年9月に日本人3番手の10位に上げ、リオ五輪団体戦代表候補に入ったが「ドイツの頃は五輪は『行けたらいいな』程度。そこから欲が出て、いろいろ気にしすぎた」。五輪の団体戦本番は準決勝でドイツに敗れた悔しさを切り替え、3位決定戦でシンガポールを破って卓球史上最年少メダリストになった。