18年平昌五輪金メダル候補の1人でグランプリ(GP)シリーズのスケートカナダ(27日開幕)に出場する宇野昌磨(19=トヨタ自動車)の言葉は多彩で正直だ。場の空気に流されず、いつも自分の気持ちを大切にする。

 宇野 あまり自分の気持ちにうそをつくことが得意じゃないですし、好きじゃない。だから毎回言うことが変わっちゃう。1年間通したら全然違うことを言っていますけれど、それは自分の気持ちの変化と見ていただけたらと思います。

 8日、都内で行われたGPシリーズの記者会見もそうだった。出席した選手が今季の抱負をボードに書き込む際、宇野は「攻める!!!」と記した。すかさず司会の織田信成氏から「昌磨、去年と一緒やん」とツッコミが入ったが「ビックリマークが1個多いです」と切り返す。「去年と気持ちは変わらないけれど、攻めるっていう気持ちが大事。面白くなくても、変えずにいきたい」。周囲がとっておきのフレーズを考えていても、自分の素直な気持ちを尊重する。

 「五輪メダル」というフレーズにも、宇野は柔和な表情のまま首をかしげる。「僕の中では、どの試合でも悔しい思いをしたくない」。16年の世界選手権は7位だったが、今年3月は羽生結弦に続く2位。シニア転向前から定評のあった表現力に加え、9月には自身4種類目の4回転ジャンプとなるサルコーを決めるなど、行き着く先が想像できない成長を遂げている。

 「(できる範囲で確実に)きれいに跳んだ方がミスも少ないですし、完成度も高くなる。でも、僕は今シーズンが最終目標じゃない。もっともっと先のために、今できることを全部取り組みたいと思っています」

 1戦1戦が初の五輪へのステップとなる今季。戦略やペース配分も必要で「『攻める』と『無謀』の境目はしっかりしたい」と冷静な顔も持ち合わせる。頑固さの中にある柔軟性。宇野のベクトルは、五輪のさらに先へと向いている。【松本航】

 ◆宇野昌磨(うの・しょうま)1997年(平9)12月17日、名古屋市生まれ。5歳で競技を始める。14年ジュニアGPファイナル、15年世界ジュニア選手権優勝。15-16年シーズンにシニアデビュー。15年GPファイナルで3位に入り、16年12月には全日本選手権で初優勝。家族は両親、弟。憧れの選手は高橋大輔。159センチ。

宇野のデータ
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GPスケートカナダ日程
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