6月30日、今後の日本スポーツ界にとって画期的な発表があった。日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長も「歴史的なこと」と力を込めた。サッカー界が集結して「TEAM FOOTBALL JAPAN 2020」が立ち上がったのだ。

JFA、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)、日本障がい者サッカー連盟(JIFF)、日本ブラインドサッカー協会(JBFA)。この5団体がサッカー界を代表して記者会見に登壇した。

「TEAM FOOTBALL JAPAN 2020」では、東京2020大会に出場するオリンピック代表の男子U-24日本代表、女子のなでしこジャパン、パラリンピック代表の5人制(ブラインドサッカー男子)日本代表の3つのチームを、サッカーファミリーが一体となって応援し、性別や年齢、障がいの有無などの違いを超えて人々が絆を深め合うスポーツの価値を伝えることを目指している。

この3つのカテゴリーのチームが、全て同じデザインのユニホームを着用することも決まった。スポーツ界で課題視されている、横のつながりを見事に可視化したように思う。全てが解決しているわけではないが、スポーツ界の新たな指標が示された瞬間だ。


日本スポーツ界では、2013年9月に東京オリンピック・パラリンピックが決定した後、かなりのエネルギーをもって動いていた時期がある。2014年に障がい者スポーツに関する事業が厚生労働省から文部科学省に移管されたことも、大きな動きの1つだった。

当時のスポーツ庁によると、障がい者スポーツ競技の競技性が著しく向上してきたことや、障がい者を含め誰もが参画できる共生社会への社会的関心など、さまざまな社会的背景から、このように一体となり国際競技力向上のための施策を推進していくとあった。

2012年のロンドン大会から、オリンピック・パラリンピックは同一の組織委員会による運営になった。このこともスポーツ全体に影響を与えた。現在の東京オリンピック・パラリンピックももちろん、同一の組織委員会で運営に取り組んでいる。

今回「TEAM FOOTBALL JAPAN 2020」が実現した理由としては、5人制サッカーがパラリンピック初出場であることも大きい。オリンピックの価値は卓越性、敬意・尊重、友情、パラリンピックの価値は勇気、強い意志、インスピレーション、公平と異なるが、この価値が交わることができるのでは、と胸が高鳴った。


このような動きの中で、私自身は何ができるのかを考えた。SDGsや、最近ではその中にあるジェンダー平等や、多様性、複雑で絡み合うさまざまな社会的課題が問われる現代だ。私は「まずは自分が幸せでないと人の幸せにたどりつかない」と幼少期からの恩師に言われたことを思い返す。

自分の幸せが他者の幸せになることはとてもハードルが高いが、社会のために考えられることや、人類の文化の未来のためにできることを考えていきたいと思う。そのためには、まず自分自身がどんなことをしたいのかを理解することが必要だ。今回のような取り組みができるサッカー界には、自身の中に志を持っている人材が豊富なのではと感じた。


ちなみにサッカー共通ユニホームのコンセプトは「日本晴れ」だ。ひとりひとりの選手やサポーターが見てきた空が1つにつながり、雲ひとつない最高の青空「日本晴れ」に向かっていくサッカー日本代表。それは日本中に希望を与える日本晴れの空のような存在であって欲しいという願いが込められている。

同じデザインのユニホームを着た選手たちをオリンピックでもパラリンピックでも見られるのが今から楽しみだ。(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)