9月に入り、毎週全国各地でトライアスロン大会が開催され、シーズンもいよいよ後半へ。新型コロナウイルスの影響により、2年間開催を断念していた大会も再出発し、参加者、関係者、ボランティアの方々の時計が動きだしました。


ブルーカーペットは格別
ブルーカーペットは格別

私は、現役のときはトライアスロンが『楽しいスポーツ』というより、職業意識が強く、トライアスロンの魅力は感じていたものの、『楽しい!』という感情よりは、結果を求めていました。プロとしては当たり前のことですが、今となると『楽しむこと』、その先にある『達成感』のような感情をもっと味わっておくべきだったと感じています。

最近は各大会でYouTube配信や主催者の配信でトップアスリートのみならず、さまざまなレースシーンが見られる機会が増えてきました。いち観戦者として、客観的にトライアスロンを見ることが増え、プレーヤーの時よりもトライアスロンの魅力を感じられるようにもなりました。

そこで、みなさんはスポーツシーンで一番好きな場面はどこですか? スタート前、プレー中の展開などさまざまなシーンがあるかと思います。

これは私の主観ですが、私がトライアスロンの中で1番好きなシーン、それは『フィニッシュ』です。

世界最高峰のレースからビギナー向けのレースまで、大会の趣旨や個人の目的、目標は違いますが、フィニッシュの場面でプレーヤーの感情が表れるからです。

2位で悔しがる人、3位で喜ぶ人。完走してうれし涙を流す人、目標に及ばず悔し涙を流す人。それぞれの感情があふれ出し、人間味が感じられます。プレーヤー同士がたたえあう場面や、チームメートを出迎える姿などにも心を打たれます。

また、フィニッシュ前後に関係者の方々に向け一礼するシーンは、日本人の心域だと感じます。海外の選手でも、日本のレースの際に一礼する選手も見受けられます。

そして、トライアスロン特有のフィニッシュも魅力のひとつです。はじめてトライアスロンを観戦した時、衝撃を受けたことを今でも覚えています。

フィニッシュの手前からたくさんの方々がハイタッチでプレーヤーを出迎え、プレーヤーと観客の距離が近く、表情や息遣いを間近で感じることができるのです。

現在はコロナ禍で注意する部分はありますが、やはりこの特有のフィニッシュは特別なものがあります。トライアスロンをやっている方なら誰もが知っていることではありますが、見たことがないという方には是非その場面を見ていただきたいです。


日本でも人気のマリオ・モラ選手(スペイン)。多くのファンがハイタッチで祝福
日本でも人気のマリオ・モラ選手(スペイン)。多くのファンがハイタッチで祝福
パラトライアスロンのフィニッシュは2人の絆が生まれる
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思いがあふれるフィニッシュ
思いがあふれるフィニッシュ
お互いに讃えあう
お互いに讃えあう
ミックスリレーのフィニッシュシーン。心をひとつに戦い抜いた後の特別な瞬間
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尊敬し合う仲間を迎えるシーン
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トライアスロンはみんなが主役になれるスポーツ
トライアスロンはみんなが主役になれるスポーツ

トップアスリートのレースでは、どうしても順位、結果のみを見がちです。それも大切な部分ではありますが、レース展開、フィニッシュでの表情を見ていただきたい。選手の人間味を感じられます。

今回はトライアスロンの話となりましたが、これからもスポーツから感じる感動、人間味を追っていきたいと思います。(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン代表)