こんにちは、スポーツアンカーの山田幸代です。

今回取り上げるのは、Vリーグのパナソニックパンサーズに所属する背番号13、クビアク・ミハウ選手(33)だ。パナソニックは今季レギュラーラウンドを29勝7敗の2位で終え、ファイナルステージに進出。3日の「ファイナル3」に勝てばサントリーと4日の「ファイナル」で激突する。逆転優勝へカギを握るのが、バレーボール強豪国ポーランドの主将でもあるクビアクだ。新型コロナウイルスの影響により、直接取材を行えない状況であるため、今回はリモートでのインタビューとなった。


■3日からファイナルステージ


パナソニックパンサーズのクビアク・ミハウ
パナソニックパンサーズのクビアク・ミハウ

「日本でキャリアを終えたいと思ってるんだよ」。

そう話すほど、クビアク選手の日本愛は深い。

2011年ワールドカップで初来日した。すぐにこの国を好きになった。「日本人は互いを尊敬しあえる。家族が住んでも安全な国だと感じた」。さまざまなことが活発に動いている環境も、とても魅力的だった。

数年後、Vリーグでプレーしてほしいという話がきた。「自分が何を得られるか、チームに何を与えられるか、考えた」。高いレベルを求めて練習できる環境であることは確かだ。その中で、自分のパフォーマンスを武器としてもらえるなら、とても幸せなことだと考えるに至った。

ディフェンスが強い日本のリーグに対して、ブロックやアタックが強い欧州のリーグ。その違いを知っているクビアク選手のプレーは、挑んでいく日本人選手の成長にもつながっていることは間違いない。


スパイクを打つクビアク(提供:パナソニックパンサーズ)
スパイクを打つクビアク(提供:パナソニックパンサーズ)

自国より海外での生活のほうが長いクビアク選手は、日本での生活にも苦労することもなかったという。「『この国に慣れないと』と思っている時が一番慣れるのが難しい。いろんな環境に身を置くことを楽しんだり、その国のいいところを見つけたりすることで、『大変だ』と感じることはほとんどなくなったよ」。

日本では「我慢」を学んでいるという。「成長させてもらっている。アスリートとしてボディメンテナンスも必要だし、大好きなラーメンも我慢して月に1回にしているほど我慢強くなったんだよ」と、おちゃめな一面も見せてくれた。

好青年というしかないクビアク選手だが、バレー界では世界的スーパースターだ。

強豪国ポーランド出身。その代表チームの主将を務める。小さいころから、バレーボール以外に選択肢はなかった。「家族がみんなバレーボールをしていて、父の練習にいつもついていっていた」。ただ無理やりやらされたわけではない。昔も今もバレーボールが大好きだと話す。


チームのカギを握るクビアク(右から2人目)(提供:パナソニックパンサーズ)
チームのカギを握るクビアク(右から2人目)(提供:パナソニックパンサーズ)

2014年、2018年の世界選手権を連覇した。

「ワールドチャンピオンシップでの優勝はとても素晴らしい経験だった。特に2014年はポーランドの自国開催だったし、何万人もの観客たちが共に喜びを分かち合った、スペシャルな気分だったよ」。

それでも満足したわけではなかった。

「僕たちは生きている。アスリートとして生きている中で終わりはないんだ。スポーツを通してもっともっと成功を収めていきたいし、それに向けて努力を怠ってはいけないんだ」。

とても力強い言葉だった。

「僕たちには、もっと大きな目標がある。それがオリンピックの金メダルだ」。国際大会を何度も制しているポーランドだが、まだオリンピックの優勝がない。「僕たちは金メダルを取りに、必ず東京に来るよ」。

コロナ禍で1年延期された東京オリンピック。チームメートに「来たくない」という選手はいないのだろうか。

「新型コロナが怖くてオリンピックに来ないなんて選択肢はない! ポーランドのバレーボール選手はオリンピックで金メダルを取るために世界に出て戦っている」。そう話すクビアク選手の目は燃え上がっているように見えた。彼らにとってオリンピックは最終目標で、最上級の価値があるのだ。


レシーブするクビアク(提供:パナソニックパンサーズ)
レシーブするクビアク(提供:パナソニックパンサーズ)

日本に来てすでに3年以上経つクビアク選手にとって、東京で行われるオリンピックは環境面を含めアドバンテージしかない。そんな主将が率いるポーランド代表が上位争いをすることは間違いないだろう。

日本代表とポーランド代表の試合が東京オリンピックで観られることを楽しみにしている。

(プロラクロス選手・スポーツアンカー 山田幸代)

◆クビアク・ミハウ・ヤロスワフ 1988年2月23日、ポーランド生まれ。2016年パナソニック入団。17-18年、18-19年とVリーグ2連覇し、2季連続MVPに輝く。アウトサイドヒッター。192センチ、87キロ。最高到達点347センチ。

山田幸代氏
山田幸代氏