4年後のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピック(五輪)の金メダル候補と言っても、決して大げさではない。
スノーボードアルペン日本代表として北京五輪に出場した三木つばき(18=CATALER)。高校3年生で臨んだ同大会では、パラレル大回転を予選3位で突破。決勝トーナメントは転倒により勝ち進めなかったものの、確かな手応えを感じて大舞台を後にした。
伸び盛りの勢いそのままに、今年3月12日にはパラレル回転で1位同着となりW杯初制覇。スノーボード・アルペン競技での日本選手によるW杯優勝は竹内智香以来9シーズンぶり史上2人目。非五輪種目とはいえ、パラレル回転でのW杯優勝となると日本勢初の快挙だった。
快進撃はさらに続いた。W杯初制覇の4日後にはパラレル大回転で2位となり、2戦連続でW杯表彰台に上ったのだ。
飛躍の要因について三木本人は、「五輪とW杯の間に出場したヨーロッパカップで、自分の力を最大限発揮できるメンタルを感じられた」と表現する。
五輪やW杯に比べれば大会ランクが下がるヨーロッパカップだが、だからこそ自然体で臨め、得られたものがあった。1対1で争うアルペン競技は「つい相手のことに意識がいきがち」と三木は話す。そうしたなかで同大会では、自分の滑りのみに意識を集中させることができたとうなずく。
ヨーロッパカップ優勝という結果と同時に得られたのが、「自分の体が意のままに動ける感覚」。人によっては“ゾーンに入った”と表現するかもしれない。いずれにせよその感覚をつかめたことで、猛スピートで滑走するレース中も、コース状態の微妙な変化や凹凸にも瞬時に反応。「物事を冷静に、客観的に見ることができた。滑っているときの感覚が違った」と、覚醒の瞬間を振り返る。
これまでとは異なる感覚と手応えをつかんで帰国し、今春から日体大に入学。都内で1人暮らしを始め、「東京で暮らすことが初めて。まずは街を知るために、散策したり自転車で回りたい」。
ゆくゆくは指導者になる道も考えている。そんな将来像を早くも描きながら進学先を選択。「大学ではコーチング学や、トレーニングに関することを学んでいきたい。2年生に履修可能となるスポーツ心理学もぜひ学びたい」。新1年生は、希望に満ちた表情を浮かべる。
4年後の目標は「五輪金メダル」。順調に過ごせば、自身2度目の大舞台は大学卒業直前に迎えることになる。【奥岡幹浩】
◆三木つばき 2003年(平15)6月1日、長野県白馬村生まれ、静岡県掛川市出身。4歳からスノーボードを始め、小学6年でプロ登録。22年北京五輪スノーボード・アルペン日本代表。W杯では21年12月に初の表彰台となる2位に入り、22年3月に初優勝するなど、同シーズンに3度表彰台に上った。
(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)



