<高校ラグビー:常翔学園31-14佐賀工>◇3日◇準々決勝◇花園

 優勝候補の常翔学園(大阪第2)が佐賀工を破り、5年(大会)ぶりの4強入りを果たした。SH岡田一平(3年)の2トライなどで難敵を圧倒。明日5日の準決勝はAシード同士の東福岡-常翔学園、Bシード同士の東海大仰星-御所実の対戦となった。

 1戦ごとに、着実に強くなっている。そう思わせる常翔学園の戦いぶりだった。相手は高校日本代表候補6人を擁し、出場校屈指のパワーを誇る佐賀工。しかし仙台育英、長崎北陽台と、初戦から強豪相手に戦ってきた常翔フィフティーンにとっては、その強さも想定内だった。

 野上友一監督(53)は「予定通りの試合展開だった。『最初から飛ばしていこう』というプラン通りに進められた」と、してやったりの表情。その計画をフィールド上で展開させたのは、やはり司令塔のSH岡田だった。前半7分、ゴール前10メートルのラックから抜け出し、左中間に先制トライ。その後も縦横無尽のボールさばきで堅守を誇る佐賀工ディフェンス陣をかく乱した。

 一時は12-7まで追い上げられたものの、岡田は前半終了間際に再びラックから飛び出し、鋭いステップでタックルを交わし2個目のトライ。後半も相手ディフェンス陣をほんろうし、チームを06年以来の4強へ導いた。岡田は「声も出ていたし、チームで取れたトライです。チームの目標が『先にトライを取ること』なので、先制点を取れたのが大きい」と、全員ラグビーを強調した。

 大会を通じてチームに反則が多いことに関しては「今後は反則をもっと減らして、クリーンな試合をしたい。勝ったので満足はしているけど、内容的には反則が多かったので…」と、反省も忘れていない。準決勝の相手は、優勝候補の最有力候補に挙げられる同じAシードの東福岡。06年度の準決勝で1度対戦しているが、その時は10-53と屈辱的な大敗を喫した。今回は事実上の頂上決戦になるかもしれない。

 野上監督も「(東福岡は)一番強いチームでしょう。でも守りに入るよりも、攻め勝たないといけない」と、攻めの姿勢を貫くつもりだ。相手がどこであろうと、指揮官が「チームのエースだから、苦しい時に頑張ってくれる」と全幅の信頼を寄せる岡田がフル回転すれば、13年ぶりの決勝進出も夢ではない。そしてその先に見えるのはただ1つ…16年ぶり5度目の全国制覇だ。【中上博】