<全国高校総体:サッカー>◇男子準決勝◇7日◇山梨・韮崎中央公園

 大津(熊本)が前橋育英(群馬)を1-0で破り、初優勝に王手をかけた。U-18日本代表2人を擁する前橋育英を無得点に抑え、後半5分にFW坂元大希(3年)が挙げた1点を守り切った。

 後半5分だった。主将MF葛谷将平(3年)のスルーパスに抜け出した坂元が右足を振り抜き、ネットを揺らす。平岡和徳監督(49)が「崩しのホットライン」と話す2枚看板がチームを決勝へと導いた。準々決勝まで4試合で計15点のうち、10点が葛谷、坂元の2人から生まれている。この日も値千金の1点だった。

 FW一美和成(2年)は陰の立役者。今大会が始まる1週間前にセンターバックから転向したばかり。得点シーンも「DFで経験した体を使ったポストプレーが生きている」とうまく相手のセンターバック2人を引きつけたことで、坂元が前を向くことができた。攻撃のピースが1つにはまったような決勝点だった。

 優勝を争う東福岡には熊本出身の選手が13人もいる。6月の九州総体で敗れた時2点を奪われたMF赤木翼(3年)も熊本出身だ。有望選手が流出する現状に「まるで高校生対オリンピック代表だね。でも負けた教訓を生かしてリベンジできれば」と平岡監督は笑った。県立の雄がリベンジに、そして悲願の初優勝に向け、ラストスパートをかける。【岡崎悠利】