予選を突破した女子の世界127位大坂なおみ(18)が、初の4大大会で初勝利を挙げた。14年に17歳でツアー優勝を遂げた同104位のベキッチ(クロアチア)に6-3、6-2のストレート勝ち。18歳3カ月での4大大会での勝利は、日本女子では沢松奈生子の17歳2カ月に次いで史上2番目の若さとなった。2回戦では同21位のスビトリナ(ウクライナ)と対戦する。

 試合中に笑みさえ浮かべていた。4大大会デビュー戦の大坂が1回戦を軽々と突破した。次代を担う10代同士の若手対決を力でねじ伏せた。勝った瞬間は冷静だったが、「エキサイティングよ。本当に幸せ」。ベンチに戻ると、180センチの長身をかがめて、観客にペコ、ペコと2度おじぎをした。

 ともに若さを生かしての強打が武器だった。しかし、昨年12月から「母にアドバイスされた」安定性で上回った。スタートから一気に7ポイント連取で3-0とリード。そのまま第1セットを奪うと、第2セットも1-2から5ゲームを連取して初戦を突破した。

 18歳にして大物の風格が漂う。試合後の会見には、米国の記者も10人近く駆けつけた。会見は通常、英語の次に母国語で行われる。それを司会者から伝えられると「え~英語だけでお願い」。日本語で「ごめんなさい」と謝ると、英語での爆笑会見が始まった。

 -日本語は

 大坂 勉強したい。1回トライしたんだけど、速すぎたラップみたいに聞こえて、緊張しちゃった。

 -もう200キロサーブは打たないのか(この日の最速は195キロ)

 大坂 人の顔にぶつけちゃったから。

 -相手のベキッチは

 大坂 若くていい選手。あと、バブリンカ(スイス)の彼女だってことも知っているわ。

 -昨年、日本のナショナルトレーニングセンター(NTC)で練習した

 大坂 正直、すごく小さい。ハードコート2面だけなんだもの。ごめんね。

 -次の作戦は

 大坂 あるわ。でも誰かが聞いてると困るから秘密よ。

 最後の落ちは「でも、誰も私のジョークを分かってくれないの」。日米の報道陣が、座っているイスから落ちそうになったところで会見は終わった。今年の目標は「トップ50かな。1度はどこかで優勝したい」。その前に、2回戦で金星を挙げれば再び愛嬌(あいきょう)たっぷりの会見が待っている。【吉松忠弘】

 ◆大坂(おおさか)なおみ 1997年(平9)10月16日、大阪市生まれ。父レオナルドさんはハイチ出身の米国人、母は日本人の環(たまき)さん。3歳でテニスを始め、4歳で米国に移住。日米の国籍を持ち、将来は「日本代表を選びたい」。女子国別対抗戦フェド杯で日本代表としてプレーしていないため、リオデジャネイロ五輪の出場資格はない。夢は「東京五輪出場」。好きな食べ物はうなぎ、焼き肉、すし。日本協会にプロ登録していないため所属先はない。1歳違いの姉まりもプロテニス選手で最新の世界ランクは456位。

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