2季ぶり9度目出場の浅田真央(25=中京大)が、ショートプログラム(SP)でワースト発進となった。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で失敗し、65・87点で9位。首位と10・56点差で4度目の優勝は難しいが「まぁ、こんな感じ」と納得の表情だった。地元米国のグレーシー・ゴールドが76・43点で首位に立った。上位24人によるフリーは2日(日本時間3日)に行われる。

 もっと出来たのにという思いか、滑り終えた浅田は少し首をかしげ、笑った。最初のトリプルアクセルは着氷時に後ろにバランスを崩し、両手をつく。ルッツから確実性を求めて難度を下げた後半の3回転ループでも軸が傾いた。ジャズのリズムに合わせた華麗なステップ、スピンでは最高レベルを稼いだが、勢いに乗れないまま滑り終えた。

 それでも笑顔でミックスゾーンに現れた。SPでシニアワースト得点を出し、悲壮感が漂った3カ月前の全日本選手権とは別人のよう。「トリプルアクセルは回転が甘かったが、その他は自分のするべきことができた。今日はまぁまぁ。こんな感じかな」と笑みを浮かべながら淡々と話した。

 世界選手権に集中するため、2月の4大陸選手権を辞退し、準備に専念。「ここにきて上り調子」と話していたように、2日前の練習ではトリプルアクセル8本すべて成功するなど好調にみえた。だが、佐藤信夫コーチによれば、左膝に違和感を抱え、徹底的に滑り込んでいる状態ではなかったという。「トリプルアクセルはまだまだ女性にとっては負担が大きい。でも挑戦を尊重したい」とかばった。

 浅田が頭で思い描くのは休養前にSP、フリーを合わせて216・66点の高得点で優勝した世界選手権の最高の感覚だった。「そのイメージで滑りたい。フリーに期待したいです」。復帰シーズン最後の滑りを終えた時、浅田はどんな表情をするのだろうか。【高場泉穂】