世界ランキング5位の日本が、同26位のカザフスタンに3-0のストレート勝ちで開幕2連勝とした。ロンドン五輪後からセッターを務める宮下遥(21=岡山)が、試合を通して攻撃を活性化。14人全員が出場した戦いで、そつない配球をみせた。次戦は明日17日、同9位のライバル韓国と対戦する。

 リオへ勝利のみが求められる最終予選に、宮下の判断は普段と違った。「いつもなら入ったメンバーに1点取ってほしいんですが、いまはそこより勝つこと。私が正しいトスをできれば、自然に(交代選手も)生きてくる」。結果をみれば司令塔の思考は正しかった。出場したアタッカー10人中9人が得点。「初戦の硬さは取れた」と、第3セットも5連続得点するなど「生かし方」に誤りはなかった。

 以前とはトスを上げる気持ちが違う。「こういうメンバーで戦えるのは運命。出会いは人生の一瞬かもしれないけど、大きな出会い」。ロンドン五輪銅メダル獲得を支えた竹下さんが引退し、後継者として代表に抜てきされた数年前は、こう思っていた。「あまり代表は好きじゃない。やりがいがない」。15歳2カ月の史上最年少でVリーグデビューした愛着ある岡山の優勝こそが最重要だった。

 苦悩が重なったのは昨年。代表戦では控えに甘んじ、試合観戦とボール拾いで1日が終わることもあった。「もっと練習したい、チームに帰りたい時もあった」という。転機は3月の合宿に竹下さんが見学に来たこと。2日目の練習終わりに言われたのは「自分のチームという気持ちを持たないと日本は勝てない。もう遥が1人で頑張らないといけないんだよ」。気持ちが動いた。「背中を押してくれた。心が決まった」。

 前半戦のヤマ場になる韓国戦が迫る。「大事になる。この2戦より確実に厳しくなる。目の前の一本に最大集中したい」。覚悟を持って、運命の仲間を導く。【阿部健吾】

 ◆宮下遥(みやした・はるか)1994年(平6)9月1日、三重県桑名市生まれ。小1から競技を始め、大阪国際大和田中でウイングスパイカーからセッターに転向。09年5月に岡山シーガルズに登録され、開幕戦に途中出場。10年3月には日本代表に選出。177センチ、58キロ。

 ◆五輪の出場条件 日本は男女とも世界最終予選(東京体育館)の結果で決まる。ともに8カ国が参加、総当たりで対戦し、順位を決定する。アジア4チーム中最上位または全体の3位以内に入れば出場権を獲得する。順位は勝敗で決め、並んだ場合は(1)勝ち点(2)セット率(3)得点率の順で決める。勝ち点は3-0または3-1の勝利=3点、3-2の勝利=2点、2-3の敗戦=1点、1-3または0-3の敗戦=0点。ブラジル、ロシア、アルゼンチン、米国、カメルーン、中国、セルビアはすでに出場権を獲得している。