創部60年目、今年4月から校名変更した北海道科学大高が2-1のフルセットで東海大札幌を振り切り、初優勝を果たした。6月の総体道予選後から指導歴33年目の工藤博己氏(58)が総監督に退き、OBの辻克典氏(29)が監督就任。道大会初采配で、チームを初の頂点に導いた。決勝進出の男女4校が来年1月4日開幕の全国大会(東京体育館)に出場する。

 第1セットを奪い、第2セットを失う厳しい展開。最終セット、24-22で迎えた北海道科学大高のマッチポイントで、相手スパイクがミスになると、コートで喜びが爆発した。雄たけび、号泣、抱擁…。全メンバーがありとあらゆる方法で歓喜を表現した。「僕たちのために身を削ってご指導なさってくれた工藤先生に、優勝を届けたかった」。阪口秀英主将(3年)が、涙と笑みのごちゃまぜになった顔で言った。

 北海道工時代から30年以上指揮を執る工藤監督が、6月の総体道予選中に体調を崩した。学校創立翌年に創部しながら、当初は札幌地区大会止まり。バドミントン部や野球部などで主力から漏れた選手を寄せ集め立て直してきた。「練習をする意味から説明した」という位置から、一昨年の今大会で全国初出場、昨夏の総体にも出場できるチームにまで育てあげた指揮官が、練習に参加できない日が増えた。総体道予選は4位で終わった。

 コーチとして3年目、教え子でOBの辻監督が、チームを引き継いだ。朝7時からの朝練も、放課後も選手に交じって熱血指導。終了後は、工藤総監督と2人で対戦相手の分析に費やした。「(全国出場のかかる)準決勝は、相手のローテーションを分析して、何種類も対策を練った。ほとんど休みはなかった」と辻監督。阪口は「自分たちの中に入って、コミュニケーションを取りながら教えてくれた。感謝します」という。

 胴上げで4度宙に舞った工藤総監督は「これでチームが100年続きそうだ」と涙目で言った。阪口主将と辻監督は異口同音に「まずは全国で1勝」。北海道工で創部、北海道尚志学園で全国初出場、北海道科学大高で全道初優勝とつながった60年の歴史を、全国大会で、さらに1歩前に進める。【中島洋尚】