男子の仙台商(宮城)が大きな足跡を残した。大村工(長崎)との3回戦を2-1で制し、高校総体も含めた全国大会で初めて8強入りを果たした。準々決勝で習志野(千葉)に0-2とストレート負けして4強入りは逃したが、主力は1、2年生。今後に期待がふくらんだ。

 涙はほとんどなかった。習志野の高さと速さに屈した仙台商は、センターコートに立てる4強入りに届かなかったが、充実感があった。今大会、東北勢唯一のベスト8入り。チームの大きな目標を達成した。千葉伸次監督(50)も「すごく満足しています」と選手と同じ気持ちだった。

 準々決勝は第1セットから拾ってつなぐ持ち味を発揮して、最大5点のリードを奪った。3回戦はコンビバレーで、最終第3セットに競り勝った。安孫子和弥(2年)とダブルエースとして活躍した小林力(2年)は「しっかり勝負どころで(アタックを)決められた。成長を感じた」と胸を張る。3年ぶりの初戦突破から勢いにも乗った。

 公立校のため、強豪私学のように有望な中学生が多数入学することは望めない。寮はなく、部員30人全員が自宅から通学する。安孫子は学校まで1時間半、小林は1時間を超える。それでも安孫子は「言い訳にしたくない」と、ハンディとは思っていない。放課後の体育館の練習は4クラブが共有し、スペースが限られている。ただ与えられた環境で練習に集中すれば、結果が出ると信じてきた。千葉監督は「全員通いの選手で、これだけできるんだ」と力を込めた。

 今大会の登録18人で3年生は2人だけ。新チームは1、2年生の主力が残り、今後に大きな期待がかかる。小林も「ベスト8の自信を持って戦えたら」と言った。安孫子は「センターコートに行くまでの難しさが分かって良かった」と、準決勝に進めなかったことをプラスにも捉えた。

 千葉監督は全国8強を「どう子どもたちが感じるか。本人たちの問題」と、さらなる奮起を求めた。21日には宮城県新人大会が開幕。東北の公立の星となった新生仙台商は、早くも2週間後に船出する。【久野朗】