13歳が中国の壁に泣いた。一般の部の男子シングルス予選3回戦で、世界選手権個人戦ベスト8の張本智和(エリートアカデミー)は梁靖崑(20=中国)に1-4(2-11、11-13、16-14、6-11、8-11)で敗れ、16日からの本戦の出場を逃した。世界ランキングでは張本は39位、梁は41位だが、卓球王国の層は厚い。これでシニアの国際大会で対中国選手は3戦全敗。悔し涙を流した張本は20年東京五輪に向けて、高い壁に挑み続ける。

 相手の球がバックハンドのラケットをはじく。中国の梁に1-4と敗北。地元で晴れの本戦出場を逃し、うつむく張本の頬には光るものがあった。「全然チャンスがなくて悔しい。あと1勝してトーナメントに出たかった」。中国の壁は厚く高かった。

 第1ゲームは2-11と一方的に奪われる。第2ゲームも11-11まで粘ったが11-13で振り切られた。第3ゲームこそ取ったが、第4、5ゲームを連取され、万事休した。相手は世界ランクこそ張本より低いが、世界最高峰の中国スーパーリーグで昨季2位。「出足が悪かった。逆に1ゲーム目を取って相手を緊張させないと」と反省した。

 これでシニアの国際大会で対中国選手は3戦全敗。相手の梁はスーパーリーグのスターだが、5日に閉幕した世界選手権個人戦の代表からは外れた。卓球王国には、五輪、世界選手権の代表以外にも強豪があふれる。張本は随所で強烈なバックハンドなどを見せたが、勝負どころではパワーと技術で圧倒された。

 昨春の仙台・東宮城野小の卒業文集には「オリンピックで金を取るためには必ず超えなければいけない壁があります。それは中国です」と記した。「2、3年前までは中国選手に負けて泣くとは思っていなかった」と悔し涙に進化も実感する。次週から中国、オーストラリアオープンを転戦。卒業文集の続きは「人よりたくさん努力して、もっと強くなる」。その言葉通り、打倒中国への戦いは五輪の金メダルまで続く。【田口潤】