卓球王国の中国から、また新たな怪物が出現した。女子シングルス決勝で、孫頴莎(16)が同5位の陳夢(23=中国)を4-3のフルゲームの熱戦を制し、ダブルスに続き、2冠を獲得した。平野美宇(17)伊藤美誠(16)と同学年の16歳が、初のワールドツアーで快挙を成し遂げた。男子は世界ランク1位の馬龍(28=中国)が優勝を飾った。

 恐るべき16歳だ。1-3と、準決勝で平野を圧倒した陳に、崖っぷちまで追い込まれたが、土壇場から3連続でゲームを奪って逆転した。「プレッシャーを感じず、全力を尽くした」。中国の先輩からは「パワーを感じた。焦りもあった」と言わしめた。

 中国であった4月のアジア選手権。日本の、当時16歳の平野が中国の世界ランク上位選手に3連勝して優勝をさらった。危機感にあふれた中国は「仮想平野」を4人つくる。その中の1人が、今回優勝した孫だった。「平野、伊藤選手のことは知っている。対戦するチャンスがあれば、全力を尽くして戦いたい」。世界選手権から日本の躍進が話題になる一方で、卓球王国の若手も着実に力を伸ばし、ますます層が厚くなっている。