リオデジャネイロ五輪柔道男子100キロ級銅メダルで世界選手選手権(8~9月、ブダペスト)代表の羽賀龍之介(26=旭化成)が「名門」の意地を見せる。

 29日、グランプリ(GP)フフホト大会(30日~7月2日、中国)出場のため羽田空港から出発。リオ大会後、初の国際大会となり「外国人選手への対応」「新ルールでの審判の動向確認」などを意識して優勝を狙う。

 2カ月後に迫る世界選手権には、神奈川・東海大相模高-東海大でともに切磋琢磨(せっさたくま)した73キロ級橋本壮市(25)100キロ超級王子谷剛志(25)60キロ級高藤直寿(24)の3人も出場する。羽賀は「相模高出身が4人いるというのは驚異的なこと。(代表)チームとしても心強い。世界選手権に向けて良いピークを持っていけるようにしたい」。特に、世界選手権初出場で場を盛り上げる性格の橋本とは同級生でもあり「彼はルーキーな気もするけど、僕はおっさんのような感じがする…。同じ歳だし、彼のエネルギッシュな部分はもらわないといけない」と笑った。

 5歳で柔道を始めた。講道館杯優勝の実績を誇る父善夫さん譲りの「内股」を武器に、高1の金鷲旗で「伝説の20人抜き」を成し遂げた。高3の高校総体では個人、団体の2冠を達成した。その後は肩の負傷などで伸び悩んだが、15年世界選手権で金メダルを獲得し、今年の世界選手権は2連覇が懸かる。4月の選抜体重別選手権(兼世界選手権代表選考会)決勝では、東海大の後輩ウルフ・アロン(21)に敗れて、100キロ級代表の2番手として選出された。「選抜での負けをきっかけに『成長しないといけない』という良いエネルギーをもらった」と、前向きに捉え「僕の場合は後輩に突き上げられているし、勝たないと(20年)東京五輪もないと実感してる。自分により厳しくする」と気合を入れた。高校、大学の後輩は仲間でありライバル。3年後に向けた「名門」の戦いは始まっている。