テニスの今季4大大会最終戦全米オープン(ニューヨーク)が28日に開幕する。日本のエース、錦織圭(27)は右手首のケガで欠場するが、日本男子では世界43位の杉田祐一(28=三菱電機)、同女子では同45位の大坂なおみ(19=日清食品)らに期待がかかる。今大会の見どころを3回に分けて掲載する。第2回は大坂だ。

 昨年の全米3回戦は、大坂にとって悪夢だった。世界9位のキーズ(米国)相手に、最終セット5-1とリード。自身初の4大大会16強入りは目前だった。しかし、勝ちを意識し、残りたった1ゲームが奪えない。「どうしていいのか分からなくなった」と、試合中に涙を見せた。

 気がつけば逆転されていた。そんな思いだけは、2度としたくない。「もう泣かない」。そして泣くなら「うれし涙ね」。初戦の相手は、前年覇者で元女王のケルバー(ドイツ)だ。しかし、ケルバーは、今年、絶不調。16大会に出場し、最高成績は準優勝が1度だけ。1位だった世界ランクも6位にまで転落した。

 左利き独特のコースが読めないプレーが特徴だが、大坂は気にしていない。2週前のロジャーズ杯(モントリオール)3回戦で、同タイプの世界1位プリスコバ(チェコ)と対戦し、1セットを奪った。腹筋を痛め途中棄権したが「いい経験になった」と、ケルバー戦に生かすつもりだ。

 時速200キロを超すサーブを軸に、パワーヒットで押す。逆に守備力に課題は多いが、テーラー・コーチは「今は長所を伸ばす。攻撃テニスは、若い時じゃないと身につかない」と、攻撃は最大の防御とばかり、守備には目をつむる。

 ケルバー戦は、センターコートでの試合が有力だ。すでに4大大会のセンターは3度経験しており、動じることはない。得意の攻撃テニスで、昨年、涙した同コートで、今度は金星で、自身の開幕戦を飾る。

 WOWOW放送 28日(月)~9月11日(月) 連日生中継。第1日無料放送。