大黒柱は今季も健在だ。新潟アルビレックスBBは5、6位決定戦でレバンガ北海道を84-78で破り、今季公式戦初勝利を挙げた。ポイントガード(PG)五十嵐圭(37)がチーム日本人最多の14得点。第4クオーター(Q)、74-73から勝利を決定づける3点シュートを決めるなど、勝負どころの後半に11得点を挙げて存在感を示した。不動の司令塔はリーグ開幕戦の島根戦(30日・アオーレ長岡)に向けて順調に仕上げている。

 軽快にジャンプしたPG五十嵐の手から離れたボールが、放物線を描いてリングに収まった。その瞬間、観客席から大歓声が起こる。五十嵐は駆け寄るチームメートと笑顔でハイタッチをかわした。

 第4Qの残り1分4秒、74-73の1点差から4点差に広げる3点シュート。この50秒ほど前、71-73から、センター(C)ダバンテ・ガードナー(26)が3点シュートを決めて逆転。連続で得点すれば勝利への流れを確実にする場面だった。「残り時間も少なかったし、自分から点を取りに行くことでいい流れになる」。五十嵐は冷静に狙い通りの仕事をした。

 第4Qに入り、1、2点差でリードを奪い合う展開だったが、この1本の後、新潟は逆転を許さなかった。接戦を制しての今季公式戦初勝利。前日1日は、B2信州を相手に72-88でまさかの敗戦。それだけに五十嵐は「B1相手に勝てたのは良かった」と地元開催のカップ戦での勝利に、ホッとした様子だ。

 新潟在籍2年目。庄司和広監督(43)は「うちにはいなくてはならない選手」と絶対的な信頼を寄せる。この日は22分間の出場で14得点。1試合平均31分間の出場で同10・5得点だった昨季のアベレージより、効率よくシュートを決めた。

 五十嵐は「自分から点を取りに行こうという意識はなかった。状況的に取らなければならないときに取りに行った。そうすればこのくらいは取れる」。開幕まで1カ月。「まだまだチームメートの特徴をつかむ状態」という中で、余裕のスコアメークだ。仕上がりは「順調。昨季よりもいい」と言う。カップ戦での優勝は逃したが、開幕までの歩みに不安はない。「チームとしてもっと精度を上げていく」。その先導役になる。【斎藤慎一郎】