リオデジャネイロ五輪柔道女子70キロ級金メダルの田知本遥(27)が10日、都内で現役引退会見を行った。リオ五輪後は、6月の全日本実業団体対抗大会に出場したが、今月4日に引退を発表。「もっと試合をやりたいという気持ちが全く湧いてこなかった」と引退理由を説明した。

 20年間の現役生活を「生きがい」と表現し「きついことが多かったけど、立ち向かう自分が好きだった」。12年ロンドン五輪は7位、15年にはドーピング違反の恐れがある風邪薬服用で全日本柔道連盟から警告処分を受けるなど波瀾(はらん)万丈の柔道人生だった。会見で78キロ超級の姉、愛(28=ともにALSOK)からコメントを寄せられると、言葉に詰まる場面もあった。

 今後も同社に所属し、今春に進学した筑波大大学院で学業に専念する。「勝ちだけを求めるのではなく、広い視野で競技に打ち込めることを教えたい」と指導者への夢も語った。