東地区首位の秋田ノーザンハピネッツが、B2プレーオフ進出を一番乗りで決めた。中地区2位の群馬クレインサンダーズに76-57と勝利し、連勝も20に伸ばした。マジック対象の東地区2位の福島ファイヤーボンズが敗れたため、早々に決まった。昨季のB2降格から、「最短B1昇格」を目標に走ってきたチームは、まずは第1関門を突破した。

 勝負師の顔ではなく、少年のような無邪気な笑顔で優勝を喜び合った。この日が誕生日の田口成浩主将(28)は高々とシャーレを掲げ、仲間に祝福された。だが直後に「自分へのプレゼントというよりも、秋田県民へのプレゼントです」と切り替えた。昨季、残留プレーオフ第3戦までもつれ込んだ末に降格。気の緩みは大敵であると痛感した。20連勝中と向かうところ敵なしだが「すべてはプレーオフで勝つこと。負けてB2ステイは誰1人として喜べない」と言い切った。

 就任1年目のペップ・ヘッドコーチ(HC=49)は「激しいディフェンス」を軸としてチームを改革。この日は、そのスタイル通りの展開だった。「まだ通過点」と淡々と優勝を振り返ったが「群馬はリーグ1、2位を争う得点力だが、2試合とも50点台に抑えられたのは非常に大きい」。選手の成長を評価した。

 「ペップ・チルドレン」も育った。昨季も特別指定選手として出場した大卒新人の中山拓哉(23)は、指揮官の信頼を得て全試合出場中で、この日も10得点。だが、今年初戦の岩手2連戦(1月20日~)で雷を落とされた。「一番集中できてないのはお前だ」と一喝され、以降「安定した」活躍ができたと胸を張る。スタイルが合う指揮官就任を喜び、B1昇格を見据え、早くもオフから週5の筋トレで体重を6キロ増量。外国人とも渡り合えるようになった。「ペップを本当に信じて良かった。だけど、ここがゴールじゃない」。欲しいものは昇格だけだ。【秋吉裕介】