池江璃花子(17=ルネサンス亀戸)が、宣言通りに日本新記録を出した。

 得意とする100メートルバタフライ、前半からいつものように積極的に飛ばすと、折り返しの後半50メートルも勢いは止まらない。1着でゴールしたタイムは56秒58。自らが持つ56秒86の日本記録を更新した。

 この日午前の予選は57秒11で楽々と通過。そして準決勝でエンジンはフルスロットルだ。タイムを確認した池江は満面の笑みで喜んだ。「うれしいです。厳しいかなと思ったんですけど」。

 価値ある日本記録だ。2年後の東京五輪金メダルを狙う本命種目で、5位入賞した16年夏のリオ五輪以来の日本記録更新には、喜びもひとしおだった。

 今年も新年から絶好調だった。2月のコナミオープンは、200メートル自由形で1分55秒04、50メートルバタフライで25秒44と2つの日本記録を樹立した。ともに自身が持つ従来の記録を更新した。リレー種目を含めて8つの日本記録を持つ17歳は、大会前日の2日に「バタフライに重点を置いて、準決勝から自己ベストを出したい」と話し「開幕即日本記録」を誓っていた。

 今大会は50メートルと100メートルのバタフライと自由形にエントリー。最も得意なる100メートルバタフライで、16年リオデジャネイロ五輪決勝(56秒88)以来の自己記録=日本記録更新が最大の目標。3月にはメキシコの高地合宿を敢行。4月の日本選手権に照準を合わせて高地合宿をするのは初めてだった。村上コーチは「56秒3~4を出せば、2020年東京五輪で100メートルバタフライで戦うスタートを切ることができる」と期待していた。

 準決勝で日本記録を更新し、明日の決勝で挑むのは56秒46の世界ジュニア記録だ。レース後のインタビューでは「決勝では大幅に(日本記録を)更新できるようにがんばりたい」と言い切る。

 次々と記録をつくっていく規格外の17歳の歩みはとどまることがない。