日本大アメリカンフットボール部の選手が悪質な反則で関西学院大の選手を負傷させた問題で、内田正人前監督(62)は23日、都内の同大本部で井上奨コーチ(30)とともに会見を開き、日大常務理事(人事担当)の職を一時停止、謹慎し、その後の進退は、第三者委員会の判断を仰ぐ考えを明らかにした。

 一方で、17年12月の全日本大学選手権決勝甲子園ボウルで関学大に23-17で逆転勝ちし、27年ぶりの大学日本一となった当時の4年生とその1学年下の3年生と、その下の学年を比較し「4年、3年の成長が優勝の原動力。当時の1、2年は見ていたはずだが上級生になった時に今、考えると、ちょっと分からなかったのかなという気がする」などと発言。前日22日に会見を開いた宮川泰介選手(20)に、責任を押しつけていると取られても、やむを得ない発言を繰り返した。

 内田前監督は「負け越しのチームを4年は一生懸命まとめ、3年は頑張ってくれた。でないと、あのチームは甲子園ボウルで勝てない。下級生は見ていたのかと思ったが…僕の判断(が甘かった)。去年はフェアプレー賞をいただいた。ルールを守る…それが暗黙と思っていた僕の指導の甘さ」と、自身の責に帰すと口にしつつも、当時2年生で現在、3年生になった宮川選手ら下級生が、自らが想像していたほど成長していなかったと言わんばかりの発言をした。

 さらに「ルールを守る、下級生をもり立てる…そういう非常にいい4年生だったが、全体に伝統というか受け継がれると思ったのが、もう1つ指導の甘さ、去年4、3年と2年…今の3年が1年であっても世代の違い…僕は分からなかった」とも語り、ここでも宮川選手ら17年の1、2年生が自らが考えていたレベルまで成長していなかったと指摘したと取れる発言を再三、口にした。

 宮川選手が反則行為を実行に移さざるを得なかったほど追い込まれていたことに関して、どう思うかと聞かれても「2年生から上級生の3年生になった、彼の不安定さが見えなかったのが今回の原因。反省しております」と答えた。

 報道陣からは、そうした回答、姿勢に対し批判的な質問が繰り返し、飛んだ。内田前監督は「責任を押しつけるとは毛頭、考えていない」と答えたり「うちのコーチは厳しいですけれど親身にやってくれる」と、井上コーチをかばうような回答をした。

 また、日本大広報部が22日に報道各社に送ったファクスの中で「コーチから『1プレー目で(相手の)QBをつぶせ』という言葉があったことは事実です。ただ、これは本学フットボール部においてゲーム前によく使う言葉で、『最初のプレーから思い切って当たれ』という意味です」と言及したことに対し、「業界用語としても過激だと思う。監督は過激な言葉でもルールは守るのが前提というが、首脳陣側に都合がいい解釈」と批判交じりの質問まで飛んだ。内田前監督は「ルールを守るのは選手、コーチも基本。都合のいい解釈はない」と答えた。

 さらに、宮川選手と接触はどのくらいあったか? と聞かれると「ほとんど(接触は)ないです。お恥ずかしい限り…1週間に何回も行けるわけじゃない。練習も出ておりませんでコミュニケーション不足はあったと思う」と答えた。

 内田前監督の一連の発言、回答に対し、報道陣の間からは、あきれたようなためいきや失笑が漏れた。【村上幸将】