世界21位の錦織圭(28=日清食品)が完ぺきなプレーで4年連続の16強入りだ。同65位で、元世界6位のジル・シモン(フランス)に6-3、6-1、6-3のストレート勝ち。亜大教授でテニス部総監督の堀内昌一氏は、1度も自分のサービスゲームを落とさない快勝はジュース、アドバンテージの両サイドともに、コートの外側に逃げていくワイドサーブが決まったことによると分析した。【吉松忠弘】

 まさに錦織の「ワイド」ショーだ。相手のシモンがベースラインから下がっているため、錦織との距離は遠くなる。錦織が両サイドともにコートの外に逃げていくワイドサーブを打つと、シモンは球との距離が遠く、リターンをなかなか強打できない。その点をついた錦織の「ワイド」ショーだった。

 1、2回戦と比較しても、そのコースの打ち分けは、はっきりと見て取れる。1回戦は、アドバンテージ(アド)サイド(右利きのバック側)のサーブは、ワイドの7本に対し、センターが9本と、ワイドは2本少ない。しかし、3回戦の同サイドのワイドは19本で、センター10本の倍近い。

 しかし、ワイドを狙うには、課題があった。アドサイドのワイドサーブは、錦織の弱点で、入る確率が非常に低い。1回戦の第1サーブが入る確率は54%だが、その内訳はジュースサイド(右利きのフォア側)が58%で、アドサイドが50%だ。つまりアドサイドは半分しか入らなかった。

 ただ、3回戦は第1サーブが入った確率が69%のうち、ジュースサイドは64%で、アドサイドが76%と、アドが12%も上回っている。ストローク戦が多く自分のリズムが作れた分、気持ちが楽になり、サーブも余裕を持って打てた。錦織は見事に課題を克服して、難敵を打ち負かした。(亜大教授、テニス部総監督)