フィギュアスケート男子の１０年バンクーバー・オリンピック（五輪）銅メダル高橋大輔氏（３２）が１日、都内で取材に応じ、４年ぶりに現役復帰することを表明した。１４年１０月の引退表明から長期ブランクをへての復帰は異例中の異例。１０月の近畿選手権が復帰戦となり、１２月末の全日本選手権を目指す。

　都内のホテルの一室に現れた高橋氏は「自分自身のためだけにやっていきたい。楽しみ」とすがすがしく現役復帰を宣言した。

　１４年１０月に引退を表明。４年のブランクがあり、３２歳という年齢はフィギュアの現役ではかなりの年長。それでも１０月の近畿選手権で復帰し「３本一発勝負」で年末の全日本選手権を目指す。「３０でも成長できるという姿を１２月が終わった時に見せられるようにしたい」と年明けから必死に練習を続けてきた。

　きっかけは、１７年末の全日本フィギュアスケート選手権だった。テレビのナビゲーターとしてそれぞれの立場で平昌（ピョンチャン）五輪を目指す選手を見つめ、思いを高めた。「勝てないなら現役をやるべきじゃないと思っていたが、それぞれの思いで戦うのもある。納得してから次に進みたいと思った」。２２年の北京五輪への挑戦は「３５歳で無理だと思います。いや、分からないけど」と笑った。完全燃焼しないまま終わった４年前の思いを晴らすまで、とりあえず１シーズンずつ力を出し切るつもりだ。

　現在、男子で戦うには４回転ジャンプが必須。高橋氏は「２種類２本ぐらいは跳びたい」と目標を掲げた。１４年ソチ五輪時点での４回転ジャンプはトーループ１種類だったが、過去には４回転フリップにも挑んでいた。既に練習を積んでおり、「現役の後半よりうまいんじゃないか」と自信ものぞかせた。

　おのずと気になるのは、平昌五輪金メダル羽生結弦、銀メダル宇野昌磨との戦い。高橋氏は「勝てるもんなら勝ちたいが、正直勝てる気は一切しない」と笑いながら語った。「勝てなくて当たり前で、勝てればもうけもん。一緒に戦えるかどうかは分からないが、全日本の最終グループに入って、一緒に公式練習、６分間練習がしたい」。３人の競演が見れる日もそう遠くない。【高場泉穂】

　◆高橋大輔（たかはし・だいすけ）１９８６年（昭６１）３月１６日、岡山県生まれ。８歳からフィギュアスケートを始める。０２年世界ジュニア優勝。０６年トリノ五輪８位。０７年世界選手権２位。１０年バンクーバー五輪銅メダル、世界選手権優勝。１２年世界選手権準優勝、グランプリファイナル優勝。１４年ソチ五輪６位。同年１０月に引退。血液型Ａ。