トロロッソ・ホンダはブレンドン・ハートリーが10位フィニッシュを果たし自身2度目のポイントを獲得した。レース中盤に降りだした雨に対し正しいタイヤ選択判断を下せたことが大きかったと、ハートリーはノーミスのレースに満足げな表情を見せた。

 「今まででベストなレース週末のひとつと言えるかもしれないね。ノーミスでクリーンなレースができたし、今日の僕はポイントに値すると思う。雨が降ってきたとき、最初はチームからピットインしろと言われたんだ。でも僕が『あと1周ステイアウトしても良いか?』って聞いて、1周走って『ピットインする?』って聞いたらチームは『雨は弱くなるはずだ』と言うからさらにもう1周ステイアウトすることができた。チームと僕の間でとても良いコミュニケーションができて、最高の決断を下すことができたんだ」

 チームとしては第6戦モナコGP以来約2カ月ぶりのポイント獲得であり「チームとしてはずっとノーポイントが続いていましたから、たとえ1ポイントでもこのポイントの意味は大きいと思います」とホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは語る。しかし予選で2台ともにQ1敗退を喫したように、マシンパッケージとしての競争力低下には厳しい見方をしている。

 「なかなか難しいレース、苦しい戦いでした、というのが正直なところですね。最後はクルマのバランスが良くなくてポンポンと抜かれましたけど、それだけではなくストレートを含めてかなり厳しい状況でした。パッケージ全体としての問題ですね。前が開けて単独走行では結構良いタイムで走れるんですが、集団の中に入ってしまうとクルマの特性を含めて難しいところがあるというのがドライバーのコメントでした」

 降雨時にフルウエットタイヤを履くギャンブルをしたものの失敗し2周遅れまで転落して最後は14位フィニッシュに終わったピエール・ガスリーは、そのようがギャンブルに賭けるしかないほどドライコンディションではマシン性能が厳しかったと語った。

 「問題は前走車の後ろについて走るときだ。ダウンフォースを大幅に失ってしまうし、全く別のクルマみたいになってしまう。シーズン序盤から僕らはこういう症状に苦しめられているんだ。それを解決するために努力する必要がある。車体はシーズン序盤からほとんど変わっていないんだ。(第9戦オーストリアGPで投入した)アップグレードをうまく機能させるにはどうしたら良いのか、もっとしっかりと分析を進める必要があるよ」

 次戦ハンガリーGPはシーズンの中でも最も中低速サーキットの部類に入り、非力なトロロッソ・ホンダにとってはチャンスが増す。使用できるパワーユニットが1基しかなかったガスリーはドイツGP予選後に新品パワーユニットを投入してスペアを1基増やし、万全の態勢でハンガリーGPに臨む。

(米家峰起通信員)