今年8月の世界選手権金メダリスト桃田賢斗(24=NTT東日本)が、コシット・フェトラタブ(タイ)を21-14、21-11で下し、男子シングルス日本人初の優勝を果たした。

ウィニングショットを決めると、コートにしゃがみこみ、世界選手権優勝の時と同様にユニホームの日の丸に口付けた。「後半すごくきつくて、あと何点、あと何点と数えて、やっと終わった。優勝したという感じとうれしさと達成感でしゃがみこみました」。世界王者として、3年ぶりに帰ってきた舞台。満員の会場には終始モモタコールが響いた。「きついときも(応援が)力になりました」と日本のファンに成長した姿を披露した。

16年4月に違法賭博の店に出入りしていたことが発覚。無期限の試合出場停止処分を受け、17年5月に処分が解除された。18年1月に日本代表に復帰すると、リオ五輪金メダリスト■(■は言ベンに甚)龍(中国)や、レジェンドのリー・チョンウエイ(マレーシア)らトップ選手を次々と撃破。8月に初の世界王者となった。

決勝まで格下としか当たらない組み合わせだった世界選手権とは違い、今大会では準々決勝で北京、ロンドン五輪金メダルの林丹(中国)、準決勝で世界ランク1位のアクセルセン(デンマーク)にストレート勝ち。別格の強さを見せつけ、初の決勝に進んだ。「世界選手権の時は淡々とプレーしながらだったが、今日は勝ちが見えてきたところで手が震えた。それぐらい勝ちたいという気持ちがありました。今日いろんな方に支えられて試合ができた」。

これが20年東京五輪会場で初めて開催された国際大会だった。「ここで優勝でき、縁起のいい体育館になった」と喜ぶ一方、「来週も大会があるので、先を見ずに自分ができることを発揮していきたい」と気を緩めず、成長の道を歩む。