フィギュアスケート男子の高橋大輔(32=関大KFSC)が14日、大阪・高石市内の通年型リンク「臨海スポーツセンター改修工事完成記念式典」に出席した。同センターはいったん閉鎖される予定だったが、高橋らの募金によって存続となった全国でも非常に珍しいケースで、高橋は、冒頭のテープカットに、大阪府の松井知事らと参加した。

同センターは08年に耐震工事に必要性が指摘されて、14年までに閉鎖される予定だった。しかし12年4月に高橋らが大阪府の松井知事を訪問して存続の陳情を起こった。工事費3億円の半分にあたる1億5000万円を募金で集めれば、大阪府が残り1億5000万円を拠出するとの回答を得た。その後、高橋らが募金活動に参加して、12年11月までに1億5000万円が集まったことで、存続が決定した。今年9月28日にリンクがリニューアルオープンしており、それを記念してイベントが行われた。

イベントでは平昌冬季五輪(ピョンチャン・オリンピック)代表の田中刑事、ソチ五輪代表の村上佳菜子さんらが演技を予定。イベントの観覧希望には1450通の応募があり、当選した350人がともに存続を祝った。

同センターは72年から営業を開始。これまで高橋、織田信成、町田樹、田中刑事ら五輪に出場した選手たちが使用。現在も昨年の全日本ジュニア選手権優勝の須本光希がホームリンクとしている。同センターで18年間指導する大西コーチは「もうあかん、そろそろ(ギブアップの)手を上げようか、と思っていたところで、募金のアイデアが出た。草の根運動で、選手たちもいろんな駅に立ってくれた。(募金が)集まった時は本当に夢みたいだと思った」と振り返る。

リニューアル工事は3億円の範囲内で耐震補強を行って残ったお金でトレーニング施設やリンク下にあったプールの跡を整備した。またリンクの横幅を2・3メートル広げて、国際大会の開催基準を十分に満たす28・5メートルを確保した。「臨海スポーツセンター支援の会」の高林会長は「募金によってリンクが存続できた例は全国でも本当に珍しい。これで少なくとも15年は続けられるメドがたった。皆さんの寄付で残ったわけですから、末永く続く方法をまた考えていきたい」と感謝を口にしていた。