世界9位の錦織圭(28=日清食品)が18年シーズンを終えた。同8位のドミニク・ティエム(オーストリア)に1-6、4-6のストレート負け。通算1勝2敗で、1次リーグB組最下位となり、準決勝進出はならなかった。しかし、右手首のケガから復帰した年に、39位にまで落とした世界ランクをトップ10に戻し、年末上位8人に出場資格のある最終戦にまで出場できた復活の年でもあった。

最後まで錦織の感覚は戻ってこなかった。球があちこちに飛び、全くコントロール不能に陥り「ほぼ試合にならなかった。全く納得できない」。悔しさで、第1セット終了時には、ラケットを投げ捨てた。「ボールをしっかりつかむことが最後までできなかった。珍しい感覚だった」。

ただ、この1年は、新たな経験を積み重ねた時間だった。右手首のケガから、今年1月末に復帰。復帰第1戦はツアー下部大会で、初戦で世界200位以下に敗れた。世界ランキングも、一時は39位にまで落ちた。再発の不安、疲労から来る痛みと闘いながら「いろんなことを乗り越えた1年だった」。ケガはしたくないが、そのケガが、また錦織を一回り大きくしてくれたことも事実だ。

来季は、今年の12月31日から始まるブリスベン国際(オーストラリア)で幕を開ける。1月14日からは、全豪も始まる。わずかの休養後、生まれ変わった錦織の新たな挑戦がすぐに始まる。【吉松忠弘】