世界ランク49位でF組4位の日本が、同70位で同組5位のカザフスタンを86-70で倒し、東京オリンピック(五輪)予選を兼ねた19年W杯(中国)出場へ前進した。4月に日本国籍を取得したファジーカス・ニック(33=川崎ブレイブサンダース)がチーム最多の41得点を記録。9月の2戦で日本をけん引した渡辺雄太(メンフィス・グリズリーズ)、八村塁(米ゴンザガ大)が不在の中でもしっかり勝ち切り、W杯出場圏内の3位に順位を上げた。

大きな210センチのファジーカスが、ゴール下で存在感を放った。先発し、序盤からテンポよくシュートを放つ。チーム総得点86点の約半分、41点も稼ぎ、15リバウンドとインサイドで圧倒した。フリースロー7本も全て決めた。頼もしいセンターは「(11月30日の)カタール戦は良くなかったので、しっかりしないとと思って入った」と穏やかな笑顔を見せた。

第1クオーター(Q)、カザフスタンに3点シュートを5本決められたが、日本はファジーカス中心にインサイドを攻めた。第2Qで逆転に成功。第3Qでは馬場もダンクを決めるなど勢いづく。互いにファウルも重なる中、リードを広げて勝利。予選6連勝とした。

ファジーカスが日本を引っ張った。バスケットボールでは「帰化枠」が1人登録可能。Bリーグが開幕した16-17年シーズンには最優秀選手賞と得点王にも輝いた“大物”は4月に日本国籍を取得。6月には日本代表として世界ランク9位のオーストラリアから25点を挙げ、金星に大きく貢献した。3月に生まれた長男ハドソン君のミドルネームも日本語の響きが気に入り「カイト」と名付けた。日本語会話も上達している。

この1勝は東京五輪に向けても大きい。国際連盟(FIBA)は東京五輪で日本に開催国枠を適用するかどうかの判断をしていない。日本には世界で戦うことのできる実力が求められている。W杯出場はFIBAへの大きなアピールになる。早ければ8日からのFIBA中央理事会で決まるだけに、この日の1勝は価値がある。日本の柱、ファジーカスは「W杯に出られる位置にいられてうれしい。また41点取りたい」と笑った。【戸田月菜】

◆ファジーカス・ニック 1985年(昭60)6月17日、米国生まれ。ネバダ大卒業後、NBAマーベリックス、クリッパーズでプレー。欧州などを経て12年に東芝(現川崎)加入。Bリーグでは2季連続ベスト5。4月に日本国籍を取得。210センチ、111キロ。

◆W杯アジア2次予選 20年東京五輪の予選を兼ねる、19年W杯(中国)の予選。12カ国が6カ国ずつE組、F組に分かれる。各組上位3カ国と、4位の国の上位(中国がE組4位の場合は5位と比較)がW杯出場。日本が自力で出場できれば、98年アテネ大会以来5大会ぶり。W杯出場は開催国枠で出場した06年埼玉大会以来3大会ぶり。