柔道の世界選手権女子78キロ超級金メダルの朝比奈沙羅(22=パーク24)が4日、都内で行われた「第6回スポーツ・セカンドキャリア・フォーラム」に出席し、人生観を語った。

パンツスーツ姿で登壇した朝比奈は、夢である「五輪金メダルと医師」の“二刀流”をテーマに約45分間講演した。20年東京五輪後に引退し、医学の道へ進むことを決めている。自身のことを「泣き虫で現実主義」と表現し「小さい頃から柔道引退後の残り50年の人生をどうするべきかと考えていた。自分の価値として、『朝比奈沙羅-柔道』で何が残るかが大切」と持論を語った。

昨年9月、本格的な医学部受験に向けて、勉強時間確保のため東海大女子柔道部を「卒部」した。現在、大学4年生で授業のほか、柔道の稽古と医学系予備校に通う生活を続けている。「柔道の息抜きが勉強、勉強の息抜きが柔道」という考えで、毎日、畳の上と机に向かう。一部の柔道、医療関係者から“二刀流”について、批判の声が上がった時期もあったが「全て結果で見返す」と強い気持ちを持つ。

世界女王として臨んだ、先月25日のグランドスラム(GS)大阪大会準決勝ではライバルの素根輝(18=福岡・南筑高)に敗れた。次戦は来年2月のGSデュッセルドルフ大会となり「東京五輪を考えた上で、19年世界選手権代表は絶対に取らないといけない。負けられない試合が続くけど、追い込んで、一回り、二回り成長した姿を見せたい」と決意を示した。

五輪金メダルと医師という壮大な2つの夢を持つが、人生の最終的な夢として「『今日も良い日だった』と思って最期を迎えられたら良い。22歳ですが『いつ、死んでも良い』と心掛けているし、そのために1日1日を大切に過ごしたい」と話した。

フォーラム後には、「第9回日本スポーツ学会大賞」授賞式が行われ、国際オリンピック委員会(IOC)名誉委員で、56年コルチナ・ダンペッツォ冬季五輪アルペンスキー銀メダルの猪谷千春氏(87)が受賞した。