男子でショートプログラム(SP)2位の宇野昌磨(20=トヨタ自動車)がフリー2位の183・43点を記録し、合計275・10点で2年連続の2位となった。SP首位のチェン(米国)が合計282・42点で2連覇。宇野は自らを責め、オリンピック(五輪)2連覇で重圧に強い羽生結弦(ANA)との差を痛感した。

表彰台でも、記者会見でも、宇野の左隣には2連覇のチェンがいた。試合後「自分にあきれたところがあります」と感情をそのまま口にした。選ばれし6人が立った大舞台で、2位に終わった自分を責めた。

五輪2連覇の羽生は故障を抱え、2年連続で不在。1年前と同様に、チェンとの一騎打ちとなった。「去年も期待され、結果が求められた試合。僕の中でも自覚していた。申し訳ないなという思いです」。

絶不調のSPから立て直し、午前練習では苦戦していた4回転トーループが復調。夜の本番でも2本を成功させたが、序盤の4回転サルコーとフリップが回転不足。最終盤の連続ジャンプも乱れ「単発のジャンプは割と力が抜けた状態で『いつも』を再現できた。でも全然、満足はしきれない」と総括した。

五輪銀メダルを獲得した昨季までは、スケートを楽しむことが理想だった。だが、今月17日で21歳を迎える宇野の心は「いずれ、楽しめない日が来ると気付いた。楽しんでばかりじゃいられない。自分にプレッシャーをかけ、その中でいい演技がしたい」と徐々に変化し始めた。大会前には「ここ数年、完璧な演技がない。もうそろそろ完璧な演技をしたい」とも言った。届きそうで届かない頂点。あと1段の高さ以上に実感したのが、日本中の期待を常に背負い、結果で応える五輪王者との差だった。

「羽生結弦選手が毎回やっているように、プレッシャーの中でそれに打ち勝って、結果を残して、素晴らしい選手になる。僕もそうならないといけない」

昨季もGPファイナル、4大陸選手権、世界選手権と羽生不在の大会で2位。もう、銀メダルでは喜べない。「僕だけが悔しい思いをしているわけじゃない。落ち込んでばかりもいられないので、次の試合に向けて頑張りたい」。簡単には割り出せない答え。だが、苦しくて悔しい2日間には、必ずや意味がある。【松本航】