フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルで初出場初優勝を果たした女子の紀平梨花(16=関大KFSC)が11日、大会が行われたカナダ・バンクーバーから凱旋(がいせん)帰国した。到着した成田空港には報道陣約80人、カメラ約20台が集結。驚きと喜びに浸るのもつかの間、男女通じて日本勢初となるGPデビューシーズンでのファイナル、全日本選手権(21日開幕、大阪)の2冠に挑む。

無数のフラッシュが、154センチの小柄な紀平を包み込んだ。通路の端に設けられた取材エリアには、あふれんばかりの報道陣が詰めかけた。突然のニューヒロインの登場に、写真撮影をしようとスマートフォンを片手に殺到する一般客。そして交通整理をする警備員の飛び交う大声。9月のシニア初戦のオンドレイ・ネペラ杯(スロバキア)から帰国した時は、4、5人だった報道陣がこの日は約20倍の約80人。あまりの現場の混乱ぶりに「思っていた以上に記者の方がいてびっくりしました。ファイナルの優勝がすごく大きいことだなとあらためて思いました」と、少し恐縮しながらも笑顔を浮かべた。

GPデビューシーズンの優勝は05年浅田真央以来、男女通じて13年ぶり2度目。さらに日本勢のGPファイナルの優勝は13年の浅田以来5年ぶり3人目の快挙だ。トリプルアクセル(3回転半)が代名詞となっているのも、浅田と通ずるものがある。そんな大先輩と比較されると「トリプルアクセルは本当に難しいことだとやってきて分かったこと」と言い、だからこそ跳び続けてきた浅田を「憧れの存在です」と尊敬した。

9日後に開幕を迎える全日本選手権では、憧れの存在も達成できなかったGPデビューシーズンでのファイナル、全日本選手権の2冠へ挑む。今回の出来を「85点」と評価。「全てにおいて完璧というわけではない。筋肉の状態とかをコントロールできない部分があった」と反省も忘れない。次は、大勢の日本人ファンの前で表彰台の一番上に立つ。【佐々木隆史】