女子回転で石塚結(秋田・角館2年)が全国初優勝を果たした。1本目で首位に立つと、2本目も2位につけ逃げ切った。角館は9日の大回転で優勝した森永ののか(3年)に続き女子アルペンで2冠を達成した。

恩人にささげる優勝だった。優勝を確信すると石塚は号泣した。「おじさんのためにと思って全てを出しきった」。先月11日、下宿先の狐崎捷琅さん(享年79)が亡くなった。茨城県つくば市から、恵まれたスキー環境に加え勉強も両立したいと、遠く離れた角館に入学。狐崎さん夫婦のおかげでホームシックとは無縁だった。「孫のように扱ってくれた。2本目も天国で見ていてくれると思って攻められた」と感謝した。

中学時代は全国入賞レベル、昨年大会も回転で25位に終わった。夏場に田沢湖1周20キロ走や、自転車で3周するなど体力トレーニングに人一倍真剣に取り組んだことで滑りの安定感が飛躍的に高まった。就任16年目の藤木剛コーチ(49)は「非常に難易度の高いセッティングだったが、重心が後ろに下がらず会心の滑りです」と称賛した。教え子で元W杯スキーヤーの金子未里さん(30)が2年前からコーチに加わるなど、強化策が実ってきた。女子アルペン界の第一人者ミカエラ・ソフリン(23=米国)らの動画をスマホで研究する努力家は「いつかは自分も世界の舞台に立ちたい」とさらなる飛躍を誓った。

   【野上伸悟】