世界ランキング1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、新女王として史上最悪の敗戦を味わった。1月の全豪オープンを制し、アジア勢初の世界1位となって迎えた初戦で、同67位のクリスティナ・ムラデノビッチ(フランス)に3-6、3-6のまさかのストレート負け。75年に現行の世界ランキング方式が始まって以来、世界1位として迎えた初戦で敗れたのは、大坂が初めてという屈辱的な敗退だった。

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ただ、強くなりたいという純粋さと、強くなればなるほど、注目と責任を負う重圧のギャップ。そのはざまで大坂は苦悩しているように見える。この日、はっきりと「注目されたくない」と言っているが、女王となった今、それは難しい。

伊達公子さんを思い出した。伊達さんも純粋に強くなりたかっただけ。強くなるだけでよかったが、プロはそうもいかない。思いもしなかった注目を浴び、報道陣も寄ってきた。プレーだけに集中したい純粋さは、外野によって壊された。

18年全米優勝後の初戦は、日本の東レ・パンパシフィックだった。大好きな日本で頑張りたい。その思いだけで、心身ともに疲労しながらも準優勝に輝いた。しかし、ドバイにはそのような思い入れはなかったに違いない。プロとは何か。21歳の女王が今、問われている。【テニス担当・吉松忠弘】