女子200メートル個人メドレーで、大橋悠依(23=イトマン東進)が2分9秒27で3連覇。世界選手権(7月、韓国)代表に内定した。

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タイムには納得いかないだろうが、大橋の泳ぎは決して悪くなかった。150メートルまでの1分37秒87は、日本記録を出した17年世界選手権決勝の1分37秒63と変わらない。伸びなかったのはフリー(クロール)のラスト50メートル。ここでの遅れが響いた。150メートルまでにエネルギーを使いすぎ、最後までもたなかったのだ。

半分も泳いでいない75メートルに、伏線があった。大橋は得意の背泳ぎで一気に突き放すプランだったはず。ところが、大本里佳(21=イトマン)にピタリと付けられて崩れた。相手のフリーの強さを考えれば、平泳ぎで離す必要がある。背泳ぎ後半から次の平泳ぎを考え、余計な力が入った。平泳ぎ自体の泳ぎは悪くなかったが、この時点でパワーは残っていなかった。

個人メドレーは難しい。高いレベルで4種目泳げることは当然だが、異なる泳ぎをいかにスムーズにつなぐかも重要。「背でゴールしてから平のスタート」ではなく「背のゴールが平のスタート」にならなくてはいけない。しかし、意識しすぎると泳ぎを崩し、力を使うこともある。大本の存在に焦り、タイムを落とした大橋だが、泳ぎは悪い状態ではない。ラスト50メートルにいかに力を残すかが、世界で勝つためのカギだ。(日刊スポーツ評論家・高橋繁浩)