男子200メートル平泳ぎで世界記録2分6秒67を持つ渡辺一平(22=トヨタ自動車)が、初優勝を果たした。150メートルまで自身が持つ世界記録を上回るペースで飛ばし、5連覇を狙った小関也朱篤(ミキハウス)らを置き去り。最後の50メートルで失速したが、2分7秒02をマーク。近い将来の世界新記録を予感させた。

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渡辺は最初からわが道を行く感じで終始、自分のペースだった。スタートは以前に比べてうまくなったように思う。スタートが良くなればターンにアドバンテージが出るし、泳ぎ全体にスピードが出てくる。さらに、スピードがついた上に積極的だった。世界記録には届かなかったが何より、前半の100メートルを1分00秒79で折り返したのは、2分5秒台の可能性を感じさせるレースパターンだった。

1分00秒台で前半を折り返して、後半も強い選手はいない。17年世界選手権で金メダルのチュプコフも、1分00秒台では折り返せない。前半を泳いで後半も強かったら、世界の選手はやりにくさを感じるはず。最後こそ失速してしまい2分7秒台だったが、すごく評価できる内容だった。

うまく200メートルに的を絞ってきた感じもあった。全体的に他の選手らの記録が落ち込んでいる状況で、自分がイメージしたレースが出来た。コンディショニングできるというところも自信になったのではないか。世界記録を出すのは難しくないように思う。2分6秒台ではなく、2分5秒台で東京オリンピック(五輪)の金メダルを取ろうという気持ちを感じた。(日刊スポーツ評論家)