【ブダペスト=三須一紀】男子シングルスで世界ランク4位の張本智和(15=木下グループ)が同157位の安宰賢(19=韓国)に2-4で敗れ、前回大会のベスト8に届かなかった。

丹羽孝希(24=スヴェンソン)は、クロアチア選手に4-2で勝利し、前回に続き8強入り。混合ダブルスの吉村真晴(25=名古屋ダイハツ)石川佳純(26=全農)組は、スロバキアのペアを4-2で下し、準決勝に進出。15年銀、17年金に続き、3大会連続のメダルを決めた。

相手サーブをフォアで払い返した球は、無情にも台の向こう側に落ちていった。転がる球を、張本はしばらくぼう然と見つめ、力なくその場にしゃがみ込んだ。負けた瞬間「何も考えられなかった」と会見場では涙がこぼれた。

格下の相手に押し込まれた。サーブを工夫され、得意のバックハンドレシーブ「チキータ」が封じられた。「得点パターンがなかなかなかったので勝つイメージが持てなかった。ずっと緊張していた」と語った。

4強シードの利点を生かし、抽選会では準々決勝までは中国選手がいないブロックに入り、40年ぶりの男子シングルスのメダル獲得に前進した。一方でそれがメダルを意識させ、「今日はあと少しでメダルというところで、守りに入ってしまった部分はある」と、相手に向かっていく良さが失われた。

来年の東京五輪に向けて「1年半もない中で、メダルを取る自信をつけたかったけど、東京五輪に出てこない選手に負けるということは、残念」と肩を落とした。男子の倉嶋監督は張本の得意技チキータを封じられると勝てない現実に「戦術の引き出しをもっとつくらないといけない」と言及した。