【光州=益田一弘】大也がやった! 瀬戸大也(25=ANA)が、競泳五輪内定1号になった。200メートル個人メドレーで自己ベストを0秒55更新する1分56秒14で金メダル。前夜の200メートルバタフライ銀に続いて、同種目自身初のメダルを優勝で獲得した。金メダル=代表内定の条件もクリア。28日の400メートル個人メドレー。本命種目での金メダルも奪って世界選手権で日本人初の個人種目1大会メダル3個の快挙を実現する。

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右腕をスタンドの仲間に向けて突き上げた。「ヤー!」と絶叫。金メダルで東京五輪内定1号。これまで表彰台がなかった同種目で決めた。「やったあ、最高ッスね。ライバルの調子が良くなさそうだった。とれる時にとっちゃおうと。最後はバテたけど死にもの狂いでいった」。

最初のバタフライから飛ばした。苦手の背泳ぎにトップに立つとそのまま押し切った。「完璧です。アップから負ける気がしなかった。ご褒美だと思います。苦しんで頑張ったかいがあった」。昨秋は長いオフをとらず、長期合宿も敢行。長女の優羽(ゆわ)ちゃんに会えない日々も我慢した。「最近は歩く練習をしてるんです」と笑う。

主将が最高の仕事だ。初の代表入りした13年は男子主将が北島康介氏。「すごく雰囲気がよかった。ノビノビさせてもらった。上野先生(日本水連副会長)から『遠慮はするな。配慮はしろ』と言われたのも心に残っている」。今春に男子主将となって、自らの発案で業務連絡用のライングループを代表選手の「日記」にした。トランプのシャッフルで座る席を替えるなど、風通しを良くした。平井ヘッドコーチが「小関君の隣になって『何を話せばいいかな?』と思ったら、子どもの話とか意外と楽しく話せたんですよ、選手もいいアイデアを持ってるです」と感心する。そして泳ぎも最高だった。

400メートル個人メドレーは13、15年と金メダルを2度獲得も、この種目はケイリッシュ、萩野に後れを取っていた。梅原コーチも「200メートルバタフライよりもキツい」と話していたが「3種目、全部でメダルをとる」という目標が現実味を帯びる。

本命種目では日本人初の快挙がかかる。73年に始まった世界選手権で日本人の1大会メダル3個は、女子背泳ぎ中村真衣と男子平泳ぎ北島康介だけ。ともに400メートルメドレーリレーのメダルを含む。瀬戸は個人種目だけでメダル3個の可能性がある。「400メートル個人メドレーでは来年を見据えたレースがしたい」。この日はライバルのケイリッシュとの直接対決でも圧勝。瀬戸が大爆発モードに入った。

◆瀬戸大也(せと・だいや) 1994年(平6)5月24日、埼玉県生まれ。6歳の時に水泳を始める。埼玉栄高時代は高校総体で3年連続個人メドレー2冠。13年4月に早大進学し、13、15年世界選手権男子400メートル個人メドレー連覇。16年リオ五輪は同種目で銅メダル。17年5月に飛び込み元日本代表の優佳さんと結婚。174センチ、75キロ。