世界7位の錦織圭(29=日清食品)が、悪夢のジンクスを打ち破った。予選勝者で同205位のマルコ・トルンヘリティ(アルゼンチン)に6-1、4-1とリードしたところで、相手が負傷で棄権。奇数年の全米は、1度も勝ち星を挙げていないジンクスを打ち破る初の1勝だった。

錦織本人は「初めて? 1回戦勝つのが? 僕の人生で? 本当ですか?」と、全く気がついていなかった。しかし、事実だ。奇数年は、11年に本戦初出場。それ以来、11、13、15年は1回戦敗退で、09年、17年はケガで欠場している。偶数年は、14年準優勝に、16、18年4強と大活躍だから、悪夢の奇数年としか言いようがなかった。

ようやくの1勝に、試合時間47分の超省エネ試合で「身体的には助かったが、本音で言えば、もう少しプレーしたかった」。勝利者インタビューでは「これからダウンタウンで買い物でもしようかな」と、冗談が飛び出す余裕の勝利だ。

全米前哨戦の2大会で、体調不良も加わり、ともに1回戦負け。今は「1番、ほしいのは自信」という。その自信を回復させるためにも「今日は自然に体も動いていた。試合に入って集中力もあった」と、プレーの向上はいいサインだ。

次戦の相手、クラーン(米国)も、この日と同じように世界ランクは100位以下だ。初対戦となるが、しっかりと勝ちきれば、プレーに完全な自信も戻る。1回戦は「ほぼ全部、良かった」と、手応え十分。悪夢のジンクスも打ち破って、上々のスタートだ。

◆全米オープンテニスは、WOWOWで8月26日~9月9日、連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。