【ニューヨーク=吉松忠弘】世界7位の錦織圭(29=日清食品)が、てこずりながらも4セットで3回戦に進出した。

同108位のブラッドリー・クラーン(米国)に6-2、4-6、6-3、7-5で勝ち、2年連続7度目の3回戦に進んだ。3回戦では同32位のガリン(チリ)-同38位のデミノー(オーストラリア)の勝者と対戦する。

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1回戦は相手が途中棄権。この日、錦織は最後まで戦ったが、違った意味で消化不良だった。ストレートで勝てる試合を、少しの凡ミスで4セットにもつれ込んだ。錦織は6-2、4-2とリードしたところから第2セットを失った。「簡単なミスが続いた。反省点だった」と振り返った。

相手のミスの多さも加わり、スタートから一方的な展開で試合は進んだ。そこで押し切れないのが、大会前に話していた「自信がない」ためだったのかもしれない。前哨戦2大会連続で1回戦で敗れ、不安の中で今大会を迎えていた。

本人は「それ以外に理由がある」と、サーブの入りの悪さや、不安定さが原因だと強調した。ただ「アグレッシブになれなかった」のは、ミスを待ってしまう自信のなさだったのではないだろうか。

ただ、明るい材料もあった。ちょっとしたミスを除けば「アップダウンはあったが、(前の2大会より)断然いい」ことだ。ストレートで勝てるには越したことがないが、長い試合から得るものもある。「いくつかの課題が見えた」。それを修正すれば次につながる。

そして、何よりも勝ったことだ。どんな内容でも勝たなければ次はない。錦織は序盤での競った試合を指摘されることが多い。体力を消耗し、上位進出で力尽きる。しかし、それは勝っているからこその課題である。

次戦の相手は、この日の雨で試合が翌日に順延となったため、2回戦と錦織の3回戦は、連日の戦いとなる。錦織には休養日ができた。「何点か修正して調整したい」。この試合が次戦への十分な糧になる。

◆WOWOW放送予定 30日午前7時55分から。31日午前0時から。ともにWOWOWライブ。男女シングルス2、3回戦ほか。生中継。