世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、今季2連敗の苦手に、2連覇を止められた。同12位のベリンダ・ベンチッチ(スイス)に5-7、4-6のストレートで敗れ、全米での昨年から続いていた連勝が10で途切れた。第2セット途中には、前哨戦に故障した左ひざに違和感を感じたのか、痛み止めを服用した。

全仏3回戦で敗れた後は、コートから、そのまま会見に直行した。ウィンブルドン1回戦で敗退した後は、会見を途中で切り上げた。しかし、この日、しっかりとシャワーを浴び、きちんと前向きに会見をこなした姿に、大坂の大きな成長があった。敗れても「自分が悪かったとは言いたくない。もっと前向きにとらえている」と笑顔さえ見せた。「もちろん、2連覇したかった。ただ、多くのことを学んで、大きく成長できたと感じている」。

ラリーが長引くと、逆にスイッチが入るのが大坂だった。3回戦のガウフ戦では、どんな長さのラリーでも、ガウフよりも上回った。しかし、この日は、短期決戦の4本以内のラリーでは上回ったが、5本以上続いたラリーでは、36点中、26点を奪われた。

それもベンチッチの凡ミスが極端に少なかったのが原因だ。ベンチッチの凡ミスは12本。その内、自らのダブルフォールトが6本なので、ストロークでの凡ミスはわずか6本だ。大坂も、納得するしかない敗戦だった。

日本協会の土橋登志久強化本部長は、「相手のストライクゾーンで勝負してしまった」と話す。球を低い位置でとらえるのが好きな相手に対し、この日の大坂は打ち合いに挑み、弾道が低かった。それが、相手の打ち頃となったというのだ。加えて、3回戦のガウフ戦に異常な集中力を発揮したためか、やや調子が落ちていたことも確かだ。

ベンチッチとは、ちょっとした因縁があった。今年の3月のBNPパリバオープン。昨年、大坂が、ツアー初優勝を遂げ、9月の全米優勝の弾みにした大会だ。今年、初めて前年覇者として大会を経験し、その重圧の中で4回戦で敗れたのがベンチッチだった。そして、今回も、連覇を止められた。

この敗戦で、9日発表の最新世界ランキングで3位以下に転落することが決まった。しかし、課題だったメンタルが今大会は崩れることもなく、この日も自滅では決してなかった。「本当に成長したと感じている。このまま行けば、絶対にいいプレーができると信じている」。

次戦は、9月16日開幕の東レ・パンパシフィック(大阪)の予定だ。「たくさん失敗をした時は、それを必ず次の試合に生かす。だから、楽しみ」。今年は、初の大阪開催で、大坂にとっては、生まれ故郷への“里帰り”となる。「たこ焼き、お好み焼き、たまらない。大きなタコのサインがあるところに、早く行ってみたい」。敗戦でも前を向いた大坂は、思い通りにならず、コート上で涙を見せていた昔の大坂とは全く違った選手だった。

◆全米オープンテニスは、WOWOWで8月26日~9月9日、連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。