男女上位2選手が来年の東京五輪代表に内定する大一番で、男子は中村匠吾(26=富士通)が2時間11分28秒で優勝した。2位には8秒差で服部勇馬(25=トヨタ自動車)が入った。日本記録保持者の大迫傑(すぐる、28=ナイキ)は3位だった。東京五輪の代表は3枠あり、残り1枠は19~20年シーズンの主要レースをもとに選出する。

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39キロすぎ、残り3キロで中村がロングスパートを仕掛けた。帽子を路上に投げ捨てた。必死に追いすがる服部と大迫。3人のランナーによる、2枠をかけた最後の大勝負が始まった。41キロで必死に追いすがる大迫が中村に追いつく、このまま逆転されそうな状況から粘った。鬼のような形相で先頭を譲らない。そしてスピードは衰えず、ゴール手前40メートルの地点でガッツポーズ、勝利を確信すると気持ちよさそうにゴールテープを切った。

中村は「しっかりトップでゴールすることだけ考えて走った。ここまで順調でなく苦しんだ部分があった。スタッフ、トレーナーに支えられての優勝、うれしい」と話した。

天候は晴れ、気温25度、湿度72%、風速2メートルという条件。スタートから飛び出したのは設楽悠太(ホンダ)だった。「先行逃げ切り」を宣言していた通り、35キロまで独走。一時は2分以上もの大差をつけられた。だが中村は2位集団につけ、自分を信じて走った。そして37キロすぎ、ついに設楽の1人旅が終わる。神楽坂の坂道で設楽を2位集団が吸収すると、そこからは自分の持ち味のスピードを発揮した。

「焦りはあったけど、後半勝負と言い聞かせて走った。予想通り40キロからの勝負。余裕を持って走れたので、早めにスパートした」

最後は大迫とのスピード勝負を制し、追いすがる服部にも8秒差でゴールした。

2位に入った服部も東京五輪を射止めた。最後に大迫を逆転し、感慨深げに振り勝った。

「必ず2位に入って東京五輪をつかもうと思った。(設楽)悠太さんの走りが勇気になった」

同じ東洋大の先輩の背中を追い、そして超えた。その先にあったのは夢の東京五輪だった。